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葵はもう俺に抵抗しなかった。手を繋いでも、腰を抱いて園内を歩いても、全然。 まだ泣いているからだと思うけど、正気になったら殴られそうだな……。  幸いというか、泣いてるせいで俺がこういうことをしてもスキンシップ過剰な友達が慰めているようにしか……うーん、見えないか。 「ママ―、あのお兄ちゃんどうしてないてるのー?」 「え?えーっとねぇ……」  近くにいた小さい女の子が不思議そうな顔で俺達を見ている。お母さん、何て言ってあげたらいいのか分からなそうだな。ここは葵の名誉のために、俺が言い訳をしてあげよう。 「ここの遊園地のホラ―ハウスがね、予想以上に恐かったからだよ~、君みたいなちっちゃい子と美人なお母さんは絶対入っちゃダメだよ、オバケに食べられちゃうからね」 「えええー!!お兄ちゃんたち、たべられそうになったの!?」 「そうなんだよ、もう、必死でオバケから逃げてきたんだけどこの通り……物凄く恐かったから、このお兄ちゃんは泣いてるんだよ」 「そうなんだ……はいらなければよかったのにね」  幼いのに的確なツッコミだな。お母さんは困った風に笑っているが、美人と言われて喜んでいる風でもある。まあ実際美人だけど。 「俺が無理矢理連れていったからなんだよ~」 「えー!お兄ちゃんいじわるー!」 「だからこうやってよしよししてやってるの。な?あおい」 「……」  ぎろり、と赤い目で睨まれたけど、他に丁度いい理由もないから葵も否定しなかった。 「なな、ぜったいホラ―ハウスはいかない~」 「うん、それがいいよ。バイバイ」 「ばいばーい」  女の子に手を振って、遊園地のゲートを出た。まだ続く敷地内にいくつもある、目に着いた小奇麗なホテルに入った。 * 「あおい、先にシャワー浴びてこいよ」 「ん……」 「それとも一緒に入ってもイイ?」 「馬鹿」  少し回復してきたかな?憎まれ口が叩けるくらいには。  一緒に入りたかったのは本当だけど、それはもうちょっと距離を縮めてからかなー。つって、もう何回もセックスしてるんだけどね。

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