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 上着を脱いでラフな格好になり、ベッドに座ってテレビをつけた。休日の昼間だし、特に面白い番組は何もやってない。静かだと葵が嫌がるかなって思ってテレビをつけただけだから、別にBGMはなんだっていいんだけど。  はあ……これからどうやって口説こうかな……もうだいぶネタ切れっていうか、俺の言いたいことは全て言ったんだけど。  本気だってことも、遊びじゃないってことも伝えた。大切にするから、とも言った。堪えていた涙まで、流させた。  ……ここまでやって靡いてくれなかったら、俺、終わってるだろ。  自慢じゃないけど、今までいいなって思ったコに振られたことは……ああ、RIONが居たな。あれは例外だ、あんなしつこい幼馴染がいちゃ絶対無理!  それに、結局俺はRIONの上辺しか見ていなかったし……。  見てくれが綺麗だから、お人形のように傍に置いておきたかったって気持ちも、正直少しだけあった。性格も大人しくて素直で可愛いと思ったし。昂平の前では全然違ったけど。  でも、そっちの素のRIONの方がよっぽど可愛くて、今まで知らずに好きだと思っていた自分は馬鹿だと思った。  葵のことは本当に一目惚れだった。 先月、RIONの許可を得て東谷高校と北峰高校のバレーの試合の応援に行った。 そして、RIONを見に来た沢山のギャラリーの中で、一際目立つ派手な金髪に自然と目がいった。その隣に立っていたRIONの妹――花音ちゃんもビビッドカラーの目立つ服装をしていたので、あの子を連れた葵は余計に目立っていた。  一目見て、綺麗な男だな、と思った。  少しだけ雰囲気がRIONに似ていたけど、それは格好だけの話で。花音ちゃんと一緒に、スポコン漫画のように一生懸命声を出して応援しているのに、その表情は何故か今にも泣きそうな感じで悲しげだった。  そんな葵から、俺は目が離せなくなった。

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