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「あおいっ……?」  その行動があまりにも意外すぎて、素で驚いてしまった。だっていつも誘うのは俺からで、葵は受け入れてはくれるけど、自分からこんな――不意打ちのキスを仕掛けてくることなんて、今まで一度も無かったから。 「……なぁ、まだ慰めてくれねぇの……?」 「っ……!」  ああ、ダメだ。  手を出さないなんて、絶対無理……。  大体、既に手ェ出してんのに今更手を出さないことが何で大事にしていることになるんだ?相手が求めているんだから、答えてやるのが愛情だろ!大事に抱けばいいんだ、乱暴なことをするわけじゃない。身体に負担はかかるかもしれないけど、愛が重いんだからそれは仕方ないと思って……。  ――なんて、全て開き直りだけど。 「あおい……!」 「シンジ……もう後ろの準備してきたから、今日は早くシンジのちょうだい……?」 「!!」  ああああ!!もう!!エロい!!俺のウサギちゃん!!  俺は割と紳士的な方だと自負していたけど、こんな風に誘われても紳士的に振る舞えるタチが居たら是非お目にかかりたい。 「ンッ……ふぅ……はン……っ!ちゅ、チュウッ……」 「はっ……んちゅ……っ、今日はいつも以上にすっげぇ優しく抱いてやろうと思ってたのに、そんなに俺を煽ってどうしたいんだよ!」  乱暴にベッドに組み敷いて、思い切り濃厚なキスをした。すると、葵は少し嬉しそうにニコッと笑って。 「余裕の無いアンタの顔、ずっと見てみたかったんだ」  そんなことを、言ったんだ。  余裕?そんなもんはねえよ、いっつも。俺が余裕に見えていたとしたら、それはそういう風に見せていただけだ。 がっついたら、葵に引かれてしまうと思って。重い奴だと思われるのはなんとなくプライドが許さなくて。  でももしかして、実はそれが間違っていた、とか……?

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