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第4話
リュウと再会したのは俺が高校生になった時だ。俺はオメガである発情期がまだこない。その為、普通の人と同じ暮らしをしていた。高校は名門の進学校に進み、色んな獣人とも関わりが出来た。相変わらず一人での外出は認めてもらえないが……それさえなければ不自由ない。
俺はオメガでも強くて優秀、より美しい男性になっていた。その美しさ故、外面にも拍車がかかり誰にでも優しく優秀な俺を周囲が放ってはおかない。俺は生徒会長になり、順風満帆だった。
そう、リュウが転校してくるまでは____
昔の面影など微塵もなく、素直で俺を守ってくれたあのリュウではなかった。相変わらず不気味なカエルの顔をしているが、昔の不気味さをさらに凶悪にした恐ろしい顔になっていた。片目は醜い傷かあり開いていない。
あれはあの時の傷……
それを見る度、胸が痛んだ。この時、知ったことがある。両性類人は顔で差別を受けたり、酷い虐めに遭っている事を……
そうだ! あれだ! あの昔の親が勝手に決めた許嫁なんて無効な筈だ。関わらなければいいんだ!
その願いは叶わず、担任の狼の獣人先生によって打ち砕かれた。
「フロエくん、君に頼みたいことがあるだけど……君はオメガだけど優秀でしかも生徒会長だ。あの……転校していたクロフくんなんだけど授業態度が悪くてね。先生達も困っているんだよ。君に頼めるかな?」
優しそうな狼の獣人先生は笑顔で俺に話をした。俺が断るなんてするわけがないと知っていてこんな事を言ってくるんだ。
「あの……僕は今の業務で手がいっぱいですよ。ほら、クラスも違いますし」
「大丈夫、ロウくんは了承してくれたよ。だから生徒会の方は副生徒会長に任せて、君は転校生をお願いするよ」
あの馬面め! 覚えてろ!
「じゃ頼んだよ」
「ちょっ……先生!」
笑顔で去って行く狼の獣人先生の背中を睨んだ。俺の厄介な外面のせいで学園の面倒事を押し付けられる。
あ……関わらないと決めていたのに最悪だ。
「……Shit!」
嗚呼、神様は俺が美しいあまりにいつも試練を俺にお与えになる。これも美しい者の定めなのかもしれない。奴も俺を見たらこの美しさと気品の良さにきっと今までの態度を改めるに違いない。
「待ってろ! 凶暴カエルめ!」
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