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第9話
ああ、身体が怠い……久しぶりに昔の夢を見た。
あれから放課後、リュウを探し回り無視され、話どころではなかった。これが二週間続いている。俺は何をこんなにムキになっているのか、これ以上リュウに近づいても無駄なのに……
今日はリュウの状況を先生に報告しなくてはならない。もう俺では無理だと言ってしまおうか。
昨日だって……
「おまえはなにも分かっちゃいない。皆、誰も本当の姿なんて見ようとしない!」
「そんなの関わろうとしないでどうやって分かり合うのさ! やる前からそうだから誰も寄り付かない!」
「はぁ? おまえだって見ようとしていないじゃないか! 俺が怖いと思ってる……知ってるか? 運命の番に会うと本当の姿が見えるって
て……おまえは信じるか? 運命を?」
「じゃ…じゃ! リュウ! 俺の相応しい許嫁になってもらいます!」
幾ら構成させたいからって自分でもどうかしてると思った。それをあいつは……鼻で笑いやがった!
「正気か? 嘘に決まってるだろ……おまえバカか」
くっっ! あの意地悪ガエルめ!
「トウヤ様ご用意出来ましたか?」
「ああ、タク行く」
人の姿をしているが銀髪に青い目をしている。俺の世話係でこの家で唯一信頼する人物だ。そう、俺を人として抱き締めてくた。冷静沈着で年齢不詳な男だ。幼い俺を怒ったあの時以来、彼が声を上げるのを聞かない。
「どうかなされました?」
「いや、懐かしい夢を……じゃ、行ってくるよ」
「そう……ですか。お気を付けてトウヤ様」
車に乗り込んだ俺は後部座席で怠い身体を預けた。熱があるのかもしれない。
学園に着き車から降りた。俺に気付き後輩やクラスメイトに挨拶をした。
運悪く虎の獣人の生徒に会った。その友人の豹の獣人の生徒が横から顔を出した。
最悪だ嫌な奴らと会うなんて……
俺の顔を見るなり、豹の獣人の生徒がニヤリと笑った。
「生徒会長殿、今日もアイドル並みに人気で」
俺は奴らを一瞥し無言で歩き出した。さっきから頭痛もし出し、ズキズキ痛む額に触れた。
本格的に体調を壊したのかもしれない……
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