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第11話

「あ……熱い……」 「トウヤ様? 気が付かれましたか?」  蜥蜴の獣人が俺覗き込んでいた。俺は恐怖で飛び起き身を縮めた。 「大丈夫ですよ。私は獣人ですがアルファではありません」  蜥蜴の顔した獣人は、小さい目をクリクリ動かし軽く会釈をした。 「私はリュウ様の執事でチュロと申します。トウヤ様は丸一日意識がなかったのです。あ! 安心なさって下さい。ご自宅には連絡済みですので」 「リュウは?」 「貴方様は発情なされてます。リュウ様とはお会いできません」  苦しい……身体も……頭の中も焼けるように熱い……リュウが近くにいるんだ。  「お願いリュウに…会わせてくれ」 「それはどういうことかお分かりですか? 貴方様はリュウ様の許嫁を受け入れることになるんですよ?」  初めてリュウと会ったあの日からこうなるって分かってたんだ。リュウと再会して発情したのが証拠だ。俺とリュウは運命なんだって本能が知ってる。隔離されているのにリュウの微妙な香りが身体を熱くする。  頭が変になりそうだ! リュウ! 「お願いだ……リュウ! いるんだろ! リュウ!」  部屋の扉がゆっくり開いた。リュウは苦しそうに浅い息をしている。一気に濃くなるリュウの匂いに身体が痺れる。 これが運命の番の力…… 「リュ…ウ…苦し…い」 「……おまえは…俺を…見捨てたんじゃなかったのか?」 「なんの…話だ?」 「父から…おまえは違う…許嫁が出来たと聞いたぞ」  お父様は俺を違う獣人に許嫁として差し出すつもりだったのか…… 「何処まで愚かなんだあの人は……俺は待っていたよ。リュウに捨てられたと思っていた」 「言っただろ…初めておまえに会った時、トウヤが運命だって…あの時から変わっていない。真実しか見ていない」

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