11 / 13
第11話
「あ……熱い……」
「トウヤ様? 気が付かれましたか?」
蜥蜴の獣人が俺覗き込んでいた。俺は恐怖で飛び起き身を縮めた。
「大丈夫ですよ。私は獣人ですがアルファではありません」
蜥蜴の顔した獣人は、小さい目をクリクリ動かし軽く会釈をした。
「私はリュウ様の執事でチュロと申します。トウヤ様は丸一日意識がなかったのです。あ! 安心なさって下さい。ご自宅には連絡済みですので」
「リュウは?」
「貴方様は発情なされてます。リュウ様とはお会いできません」
苦しい……身体も……頭の中も焼けるように熱い……リュウが近くにいるんだ。
「お願いリュウに…会わせてくれ」
「それはどういうことかお分かりですか? 貴方様はリュウ様の許嫁を受け入れることになるんですよ?」
初めてリュウと会ったあの日からこうなるって分かってたんだ。リュウと再会して発情したのが証拠だ。俺とリュウは運命なんだって本能が知ってる。隔離されているのにリュウの微妙な香りが身体を熱くする。
頭が変になりそうだ! リュウ!
「お願いだ……リュウ! いるんだろ! リュウ!」
部屋の扉がゆっくり開いた。リュウは苦しそうに浅い息をしている。一気に濃くなるリュウの匂いに身体が痺れる。
これが運命の番の力……
「リュ…ウ…苦し…い」
「……おまえは…俺を…見捨てたんじゃなかったのか?」
「なんの…話だ?」
「父から…おまえは違う…許嫁が出来たと聞いたぞ」
お父様は俺を違う獣人に許嫁として差し出すつもりだったのか……
「何処まで愚かなんだあの人は……俺は待っていたよ。リュウに捨てられたと思っていた」
「言っただろ…初めておまえに会った時、トウヤが運命だって…あの時から変わっていない。真実しか見ていない」
ともだちにシェアしよう!