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第14話

 電車に揺られながら空いた席に座ると、早速メールの返信をしようと携帯を開く。 指が震える・・・初めての友田さんへのメール。 僕がいつこれを目にするのか分かっているのかな? きっと授業が終わって、ホームルームが終わって、掃除も済んで、もしかしたら部活なんかも終わってから目にするって思っているのかな? ・・・・もしそうなら・・・・ 今はまだ4時前・・・普通はまだ学校にいる時間。 メールを打つ指を止めた。  海星学院の中学3年生。友田さんの中での僕は、多分青い目をした中学3年生で、普通の学生生活を送っているんだ。 この間は、学校の事も親の事も話題には出なくて、花とかハーブティーの事ばっかりだった。僕が一方的に教えられることばかりだったけど、すごく楽しかったし.....。 ただ、半分は舞い上がってしまってよく覚えていないんだ。それでも、もっと一緒にいたいなって思った。 メールの返信は、家に帰って寝る前にしよう。 僕はそっと携帯を閉じると、上着のポケットにしまった。 * *  自分でカギを開けて部屋に上がるけど、”おかえりなさい”の声はなくて、シンと静まり返った空間が僕を出迎える。 いつもの様に机の上にカバンを置くと、上着をハンガーに掛けた。 ダイニングテーブルの上には、お母さんの文字で書かれたメモがあり、やはり遅くなるから先に寝ていてくださいと書かれている。 ポツン、と椅子に腰をかけ、リビングのテーブルの上に置かれた花瓶に目をやった。 そこに花は無く、ただのオブジェと化したガラスの置物が、寂しそうに置かれているだけ。なんの温もりも感じない空虚な入れ物。 ...........まるで、いまの僕みたい.............。 ベッドの上で携帯を開くと、また友田さんからメールが入っていたようで、上着に入れたままだったから気が付かなくて........。 : 忙しかったらゴメンな。いつでもいいからメール待ってる。: ..............僕を気遣う友田さんのメールは、心に浸みてくる。 なのに、返事を打てない。あんなに会いたいと思っていたのに.......。 ふわふわした暖かな光は、僕の闇を余計に際立たせるから.......。

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