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第22話

 「び、っくり、した。........佐々木くん?!」 友田さんは、僕の顔だけをじっと見て、言葉につまづきながらしゃべった。 「どうしたの?学校......の帰りなんだよね?」 「はい、友達の買い物に付き合って.....ここへ......。」 僕も言葉に詰まりながらなんとか話す。 「おいおい、こんな所でぼさっと立ってたら迷惑だろ、座ろうよ。」 片割れの人にそう言われて、僕たちは奥の席に座った。 「あ、オレの名前は浩二(コウジ)。よろピク~」 180センチぐらいのデッカイ体格で、糸のように細い目をした人だけど、友田さんの友達ってわけではなさそうで、僕と日下部くんは目で合図すると、この場をやり過ごすことにした。 変にかかわっても、いい事はなさそうだし、かといって逃げ出す事も出来ないし.....。 僕は、こういう時の対処の仕方を知らなくて、人との関り方に疎いから、自分の身の置きどころも分からない。ただじっとしているだけで....。 「なんかさ~ぁ、二人とも暗くね?.....なんか嫌な事でもあったんでしょうか?」 浩二さんが僕らに尋ねるけど、むしろ、”あなたが・・・”と言いたいところだ。 半ば強引に連れてこられた日下部くんなんて、店の中をキョロキョロしてばかりで、落ち着きがない。 友田さんが、水の入った人数分のコップを運んでくると、 「まさか、佐々木くんにちょっかい出してないだろうな?!小金井くんに言いつけるよ!」 「はっ、止めてよ、出してないって!!」 -また、「よ」っていう言い方がオカマっぽい....... こんな大きなからだなのに・・・ 「何飲む?」 友田さんに聞かれ、浩二さんがオレンジジュースを3つ注文した。 僕らに聞きもしないんだけど、まあ、おごってくれるそうだし、いいかと思って待つ事にする。 「きみら二人目立つねぇ。アユムくんはガイジンさんみたいだし、キラキラしてるじゃん。もう一人のきみはプニプニしててかっわいい~~っ。・・・ちょっとボクの好みかも~・・・・」 -やっぱり、なんだか変な感じ。話し方に違和感が・・・・・ なんで僕の名前をアユムっていうんだろう・・・日下部くんが呼んだからかな? こういう人たちってみんなこういう感じでしゃべるのかなぁ・・・僕らが黙っててもお構いなしだ。 日下部くんは、浩二さんに手をにぎにぎされて、ちょっと涙目になっている。 どうしようと思っていたら、 「あっ、小金井くん・・」 友田さんがジュースを運んで来た時に、浩二さんに言った。 「へっっ??」 慌てて後ろを振り返る浩二さんを見て、友田さんがニヤっと笑う。 「・・・ちょ、っとオ・・・やめてヨ・・・謙ちゃん・・・」 浩二さんが狼狽えているのが分かる。 -ははは・・ 友田さんが笑うけど、多分浩二さんは、小金井くんと言う人に弱いんだろう。 益々、僕はこの状況が分からなくて、同じように笑う事すらできないでいた。

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