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第26話

 スマートフォンに映る男性は、すごく筋肉質でスポーツマンタイプの人だった。 もうひとりも同じような感じで、一種の格闘技みたいな雰囲気があって、いやらしさはないんだけど、初めて目にした僕はビックリして声が出ない。 「この間さ、高等部の先輩が教えてくれて。・・・この学校って、結構ホモの人多いの知ってる?」 「。。。い、や・・知ら、ない。」 僕がしどろもどろで答えるから、北村くんが可笑しかったのか笑いながら言った。 「佐々木くんて、高等部の先輩からそういう目で見られてんだよ?」 「・・・・え?どういう?」 「だから、食っちゃいたいって・・・言ってた。」 「く、・・っちゃいたい・・・って・・・」 何処かで聞いた...........。 「え?どう言う事?僕殴られるの?」 その質問は全く的外れだったみたいで、目を向いた北村くんが口を半開きにする。 「やだなぁ、違うよ、エッチしたいって意味。」 「エ、ッチ?...........え.........え?」 確認するけど、そういうのは男と女のすることで......... 触る、ってのは分かるんだけど。 僕が、友田さんに頭を撫でられて気持ちいいのとは違うんだ? 頭がパニックに陥って思考がまとまらない。僕が知らない間にそんな風に見られていただなんて・・・ 高等部の人とはあまり出会う事は無いのに・・・ - あ、ときどきカウンセリングルームで出会うかも・・・ 何人かの顔が浮かんだけど、あまりいい印象は無くて....。 あの人たちは、わざとサボってあそこにいるんだ。 僕たちとは違う。・・・・・気持ちが落ち込んでしまった。 こんな話聞かなきゃ良かった。  その日、日下部くんは結局休んでしまい、学校へは来なかった。 僕は、友田さんのお店に行く時間まで、空き教室で読書する事にした。 生徒たちに会わない様、みんなが帰るまでここで時間をつぶす。 -- ガラツ -- 横開きのドアが勢いよく開いたので、僕が目を向けると 「あッ、いた~・・・。」 「お、ホントホント・・・なにしてんの?」 高等部のバッジをつけた二人の生徒が、僕に近づいてきて聞く。 - どうしよう、この間の様な、嫌な予感がする - ニヤニヤと笑みを浮かべているけど、目の奥が怖い。 獲物を狙うヒョウみたいだ。背が高くて細いけど、しっかりと筋肉は付いている。 浩二さんとは違った意味で人相が悪い。 僕は、またしゃべれなくなった。 「ねえ、遊ぼうか?・・・ここは誰も来ないよ。カギなんてないから先生も見に来ないし、この時間に残ってるのは運動部の奴らばっかしで、外にいるからね?!」 一人の人だけがしゃべると、もう一人は僕の背中に腕を回して横から僕を抱き寄せ、犬みたいに首の匂いをクンクンと嗅いだ。 僕は、椅子から落ちないようにするのがやっとで、ギュっと目を閉じた。 口に何かが当たるけど、目を開けるのが怖くて瞑ったまま。 すると、口の中にヌルリとした感触が伝わり、それが人間の舌べろだと分かる。 僕は腕を顔の前に持っていこうとしたけど、それはすぐに払いのけられて、ぎゅっと強い力で掴まれたままになった。 ‐ ヤダ.........ヤダ、ヤダ、ヤダ..........ダ..... 意識をどこかに飛ばしていたみたい。 気が付くと、僕は床の上に転がっていた。 やっと動く腕で体重を支えると半身をおこす。が、激痛で、また床に転がった。 「イ、ったぁ......。痛い.....」 仰向けのまま、違和感のある腰に手をやると、べたっとしたモノに触れる。 しばらく天井を仰ぎ、それが精液だと分かるまで時間がかかった。 なんとなく降ろされたズボンに手を伸ばすと、腰の辺りを触る。 ねっとりした何かが、僕の指に絡むと、激痛が走った。 あの人たちに.........こんなところを................

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