40 / 128
第40話
明るい店内には爽やかなBGM。
回りには、休憩中のサラリーマンと、中年の男女のグループが、ちらほら。
その中で、異質な僕たちは、平日の午前中に、喫茶店でタムロしている不良学生の様で。まさかその中に、自分が身を置くとは思ってもみなかった。
心に深い失望と焦燥感を感じて、僕は泣きそうになる。
友田さんとの事を聞かれても、一方的に僕が助けられただけで、浩二さんがニヤつく様な事は無い。
ただ、昨夜気づいた僕の願望は、言うことは出来ないと思った。言えば大変な事が起こって、この人たちの餌食にされそうだから。
「なんだよぉ?、だんまりか?」
浩二さんが僕の腕を肘で押してくるが、僕は口を閉ざしたままだった。
「お待たせしました~。」
運ばれてきたモーニングを見ると、もう僕には見抜きもしないで慌てて口へと押し込んでいる。
僕は、目の前に置かれたオレンジジュースのコップにストローを指すと、口に運んだ。
横目で浩二さんと、向かいの茶髪の人を覗くが、さっきの怖さが少しだけ薄らいできたような気がして、しっかりジュースのコップを手に持つと、飲み干してしまった。
「じゃあ、僕は学校へ、」
立ち上がって言ったが、浩二さんが僕のズボンを引っ張るからフラついて、また椅子に引き戻されてしまう。
「まって、ちょっと、・・・お願い。」
浩二さんが僕に向かって可愛く言うが、全然似合っていないし、むしろ怖さを増しているだけだった。
仕方なく二人の食べ終わるのを待つことにすると、向かいの茶髪の人が浩二さんの後ろに視線を向けて、口を半開きにしたまま固まってしまった。
僕は気になって、彼の視線の方向を見ようと後ろを振り返る。すると、横に座った浩二さんの頭を大きな手が鷲掴みするのを見た。
「あっ!!」 思わず声をだすと、僕たちの後ろに居た人が、ニコリと微笑む。
僕に微笑んでいるんだろうか?!
顎のラインまで伸ばした黒髪は、少しだけ癖があり跳ねていた。
オシャレなのか無精なのか、顎にひげを蓄えてトレンチコートを羽織っているが、中はTシャツ一枚みたいだった。
‐‐‐ どうしよう、またまた変な人が出てきたんだけど - - - - -
ともだちにシェアしよう!