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第41話
この何か月で、僕を取り巻く状況が大きく変化したことを喜ぶべきなのかどうか...。
僕は今この瞬間に、何が起こっているのか分からなかった。
「小金井さ、ん ----」
向かいの茶髪が、静かな声でその人を呼ぶ。
「おぅ、お前ら学校は? またサボリか?」
浩二さんの頭を掴んだ手を放すと言うが、なぜか視線は僕のほうに向けられている。
”小金井さん” この人が、あの・・・・・
僕の”お父さん” にしては若すぎるだろう。
そう思いながら見ていると、
「この子がオレの息子?」
ぶっっ----ツ
浩二さんが口から水を噴き出した。
「あツ、- - - えぇっと- - - 」
おしぼりで口とテーブルを拭きながら、浩二さんが焦っている。
「ぁ、あれッス・・・これにはいろいろ訳があって・・・」
なぜだか僕の肩をしっかり組んで言う。
「ちょ、っと・・・痛い・・デス」
僕が離れようともがくと、
「どれどれ・・・ホントだ。きれいなボクちゃんだねぇ。」
向かいの茶髪の横に腰を降ろしながら言った。
「・・・・」
僕は、なんとも答えようがなくて......。
「なんで、そんな話が?」
浩二さんが必死で聞いているが、小金井さんと言う人に頭が上がらないんだという事は、隣にいる僕にも伝わってくる。口から、あんな出まかせを言ってしまって、きっと後悔しているんだ。
「昨夜、店に行ったらさあ、オレには青い目の息子がいるって聞いたやつがいて、はなしのネタにされたらしいんだよ。どこかのゲーセンで、息子と同じ学校の奴が話してたんだと。・・・まさかお前ら?」
「ヤツ、違います!! そいつらは、アユムくんをいじめてた奴らですから。きっと。」
「え?いじめ・・・・?」
僕が浩二さんの顔を見ると、浩二さんも見返してくる。
「アレ??違うの?・・・だって謙ちゃんが・・・」
- - - ああ、やっぱりそうか。
「まあ、そうですけど・・・・」
取り合えず話を合わせておく事にした。でないと詳しく聞かれても困るし。
「それで?!この子を庇うためにオレの息子って事にしたんだ?」
「・・・はい。・・・謙、、友田さんがそうしてほしいって・・・」
「はぁ・・・謙に頼まれると、お前らなんでも聞いちゃうんだよな?!」
やはり友田さんは、この人たちと深く関わりがあるんだと思った。
友田さんからは、不良とか強面の知り合いがいる要素は感じられないんだけど.....。
「君は・・・謙の・・・アレ・・・か?」
僕を見る目の色が、変わったように思えるのは気のせいだろうか...........?
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