45 / 128
第45話
花屋の二階事務所で、僕は友田さんのお母さんと昼食を食べることになった。
なんだか学校へ行きそびれて、お母さんがお昼を食べようと誘ってくれて、僕ってこんなに図々しかったかな?
まだ二度しか会っていないってのに、すっかり仲良くなれた気がする。
「でも、佐々木くんが元気そうで安心したわぁ・・・。ここに来てくれた後、病気でお家に居たんですってね?!謙が心配っだって毎日気にしてて.......。」
お母さんが、コーヒーのお代わりを入れながら話し始めた。
「あ、・・・・それは・・・」
僕が引きこもっていた時の事か.............。携帯の電源も入れず、部屋にも、心にもカギをかけていたんだ。
「バイトから帰ってきても、ぼうっとしてるから、お花持ってお見舞いにいきなさいって言ってやったのよ。普段はあんなに強気なのに・・・佐々木くんの事がホントに可愛いのね?結局会えたって、ニコニコして帰ってきたのよ?!ふふっ!」
お母さんが目を細めて僕に微笑むから、なんだかくすぐったくて.......。
「あの時、謙さんが来てくれて、僕もすごく元気をもらったんです。ありがとうございました。」
今更だけど、お母さんにもお礼が言いたくなった。
「ううん、そんな・・・・。これからも仲良くしてやってね。」
「は、い。もちろんです。」
僕は飛び跳ねるほど嬉しかったけれど、そんな事は出来ないし、冷静にゆっくりと答える。
お母さんは、僕がこんな時間に学校へ行かないでいる事には触れず、ごく普通におしゃべりをして、最後には花を見繕って持たせてくれた。
電車の中でいい香りに包まれて、さっき聞いた友田さんの様子を頭に浮かべては、自分の顔が熱くなるのを感じている。
- 益々、友田さんの事を好きになっている.........。
自分の中でくすぶっていた何かが、はっきりと形に表われて、確信に変わる。
こういう気持ちをなんと呼ぶのか分からないけど、これが”恋”なら僕にとっては”初恋”になる。生まれて初めて、恋しいという気持ちを味わっていた。
男が好きかもって言った友田さんだけど、僕なんかを好きになってくれるかな?
こんな弱虫の僕なんだけど....................。
ともだちにシェアしよう!