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第47話
リビングにある置時計をチラチラ見ては、ソワソワする僕。
テーブルの上にランチョンマットを敷き、お皿とスプーンを用意して待つ。
友田さんが着く頃には、カレーも温まっているし、フルーツサラダも冷蔵庫でいい具合に冷えていると思う。
花瓶に生けた花の位置を確認しながら、僕は携帯を確認したりして落ち着かない。
もう、自分でも笑っちゃうぐらいあがっちゃってるんだ。デートじゃないのに、そんなのしたことも無いから想像もできないけど、好きな人に会う前ってこんな気持ちになるんだろうか?
〈 ピン・ポーン 〉
その音で、肩が上がるほど緊張したけど、玄関で息を整えると、はいと言いながらゆっくりドアを押し開けた。
「ちわツ! ごめんな、ちょっと遅れた・・・バスの時間がずれて、なかなか来なくてさ。」
「いえ、大丈夫です。ちょうど準備も出来たところだし・・・」
僕が先に廊下を歩いて、友田さんをダイニングへと案内する。内心はドキドキなんだけど.....。
「あ、・・」
テーブルの上を見て、少しだけ友田さんの顔が華やいだのは、食事の後に出そうと思って用意したハーブティーの入れ物を目にしたから。
「これ、ローズヒップ?」
ガラス瓶に入ったそれを指差すと聞いてきた。
「はい、さすが・・・すぐにわかっちゃうんだ?!」
僕が褒めると、こめかみを擦りながら友田さんが照れるから可愛くなった。
「じゃあ、すぐ食べましょうか?フルーツサラダも作ったんで。」
「え、アユムが?作れたの?」驚いた顔をされて、思わずムッとしてしまった。
「あ、ごめん。そういう意味じゃなくて、時間があったのかな、と思ってさ。」
慌てる友田さんの言い訳をする姿が可愛くて、僕はわざと口を尖らせてみた。
・・・・これは甘え?それともいじわる?
「怒んなって!」
そういうと僕の頭に手を乗せて、わしゃわしゃするから、フワフワの髪の毛が絡まった。
「ちょ、っと、・・・もう止めてください。」
僕は逃げるようにその場を離れ、台所へと向かっていった。
髪の毛を直しながら、カレーの鍋をテーブルへもって行くと、ガラス瓶に入ったハーブを眺める友田さんがニコっと笑う。
その顔を見て、僕も少しはにかみながら笑った。
- こういう空間が好きなんだ。ドキドキするけれど、暖かくて優しくて、すごく安心できる・・・
また一つ、僕は新しい感情を心に宿した。
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