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第71話
翌日は、昼からバイトに行くという友田さんを送り出し、昨日の掃除の続きを始めた。
今日はクリスマスイブ。
特に予定はない。友田さんは、カフェが忙しくなるから大変だとこぼしていたけど、何の予定も入っていない僕よりはマシだ。
昨年、お母さんの仕事仲間が家へきて、散々飲んで賑やかだったから、今年の一人きりのクリスマスイブは余計に寂しく感じられた。そういえば、誰かとイブを過ごすなんて、小学4年生の時にクラスの子と遊んで以来なかったな…。
本当に僕って………どれだけ人が苦手なんだか。自分でも呆れるけど、それが普通だったから……。
この数ヶ月は、僕にとっては青天の霹靂みたいなもので、嫌な事と良いことが同時に来たようだった。あの日、日下部くんとあのビルに行かなければ、僕は友田さんを知らないまま過ごしたんだろうか?
それとも、同じ駅で乗り降りしていて、出逢う事になっていたんだろうか?
何気ない日々の中で、ものすごい確率で僕らは出逢った様な気がする。でも、そんな風に思うのは、僕だけなのかな?
リビングの掃除も終わり、ハーブティーでも入れようと立ち上がった時、携帯の着信音が鳴った。見ると、また桃里くんからだ。
"昨日のお礼に、今夜家に来てもらえませんか?母親が食事を用意してくれたんで!"
メールの文面を見て、正直驚いた。
昨日の今日で、しかも自宅に招待してくれるとか.................あり得ない。
桃里くんはどうしてクラスから離れてしまったんだろう、と思った。
こんなに積極的に人とかかわれるのに・・・・・。
僕なら、数ヶ月かかってやっと挨拶をかわせるぐらいだと思う。桃里くんの性格はまだよく分からないけど、嫌な感じを与える人ではないし......。
僕は、首を傾げながらも返信をする。
”ありがとう。でも、さすがにそれは遠慮させてもらう。お礼とか気にしないでくださいと、お母さんに伝えてもらえるとありがたいです。またいつでも付き合うから、言ってください。”
僕が一人で留守番をしていることが分かって、気にしてくれたんだろうと思った。
でも、桃里くんの家に行くのは気が引けるし.......できれば、僕に構わずにいてほしい。
僕は一人で静かなイブを過ごすことに何の抵抗も無いんだし。むしろ静かにしている方が気が休まるっていうか............。
桃里くんからの返信は、”分かりました”とだけだったから、これで今夜は静かに過ごせると思った。
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