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第79話 

   * 暗い夜空に瞬く星の、たった一つになれたとしたら、僕はあなたを見ているよ。 東の空が目映い光に覆われて僕を隠してしまっても。 僕の光は遮られ、あなたには届かないけど覚えていてね。 夜になったらまた会えるから、それまで少し、おやすみなさい。*  「...ぃ、.......先輩。」 「佐々木先輩。..........大丈夫ですか?」 - - あ - -  僕は、その声で目が覚めた。なんだか夢でも見ていたみたい.....。 すっかり聞きなれたその声は、桃里くんのもの。 ..................友田さんはそこにいなかった。 「.........いま、なんか........夢を見てた.........」 「よかった~。どうしようかと思いましたよ。気分はどうですか?」 「うん、いいよ。大丈夫、だから・・・」 周りを見たら、ここは僕の部屋だった。 ベッドに寝かされていたようで、ゆっくり起き上がると、頭に手をやって髪の毛をくしゃりと掴む。 「吐きそうなの我慢してたんですか?」 「・・・え?」 そう言われて、自分の姿を見てみたら、服を着替えていて、不思議に思った。 そのあと、だんだん不安な気持ちになって 「もしかして.........僕、吐いた?」 恐々聞いてみる僕に、微笑んだ桃里くんの顔が、そうだと物語る。 「うわっ・・・ごめん。」 きっと嫌な思いをさせてしまった。着替えているという事は、桃里くんが脱がせてくれたんだ。 「汚しちゃわなかった?桃里くんは大丈夫?」 申し訳なくて、恥ずかしくて、しっかりと目は見れないでいるけど、謝りたかった。 「平気ですよ。少しだけだから・・・大量に吐かれたらさすがにビックリですけど! きっと電車の中が熱かったから・・・酔っちゃったんでしょう?!」 そういって、僕の肩に毛布を掛けなおす。 「ありがとう・・・ホント、ごめんね?!」 「いいって、それより何か、水とか飲みますか?」 「うん、あっ、自分で行くから。」 ベッドから足を降ろすと立ち上がったが、ふらっとしてよろけてしまう。 「あ、ボクが・・・」 桃里くんが僕の腰に手をやると、またベッドに座らせて毛布を掛けた。 パタパタと急いでキッチンに行くと、水を汲んできてくれ僕に差し出す。 「ありがとう」そう言って受け取ると、僕は喉を鳴らしながらごくごくと飲んだ。 熱い咥内が冷やされて、胃袋までの水の通り道が分かると、生き返ったような気持ちになる。乾きが一気に潤され、僕の気分も良くなった。 「ダメだな・・・。僕って時々、自分で分からないうちに倒れちゃうんだ。いつも誰かに迷惑かけちゃうよ・・・」 僕が沈んでいると、桃里くんはそっと肩に手を乗せて 「なら、ボクが見張ってますから。倒れたりしない様に!」 口元はニコリと笑っていたが、目の奥は真剣な眼差しで言った。 その言葉を聞いて、僕は安易に返事が出来ない。 だって、桃里くんの僕に対する気持ちを知ってしまったから・・・・・。

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