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第82話

 - - - ダンツ !!!  「 アユムツ?!」 いきなり部屋のドアが開いて、僕の名前を呼ばれたからビックリする。 「・・・と、もだ・・・さん?」 「どうしたツ!?どツ・・・」 友田さんは、開け放った扉を手で押さえながら、ベッドの上の僕を見て声を失った。 「・・・・・・・」 僕は、裸のまま布団にくるまっていたけど、ベッドの足元には脱ぎ散らかされた服と下着が落ちていて、布団の隙間から覗くシーツは所々に血痕が付いていた。 ガタツ・・・ガタン・・・ 扉の前で、友田さんが腰を抜かしたみたいにへたり込み、ドアが入口の書棚に当たって跳ね返る。 目の前の光景をどう思っただろうか・・・・・ 僕は、泣き過ぎて声が掠れてしまったし、ショックを隠せない友田さんの顔を見るのが辛かったから布団の中に隠れてしまった。 「僕を見ないで !!! 帰って !!!!」 これが、今出せる精一杯の言葉。 前の、知らないうちに犯されていたのとは違う。ある意味、自分の不注意でこうなってしまった。桃里くんの好意を知っていて、うちに上げてしまったし、強く跳ねのけられなかった僕のせいでもある。 嫌だったけど、快感に逆らえず桃里くんを受け入れてしまった。 「............誰が............こんな............ アユム......アユム......!!」 床に手を付きながら這ってきた友田さんは、ベッドマットに手をかけると布団から僕の頭を出して叫んだ。そうして、そのまま布団ごと僕の身体を抱きしめる。あまりにも力強く抱かれて、僕の身体は反り返るほどだった。 ...うっ......ううぅ.........うっ...... 泣いているのは、友田さん。 「俺が・・・ついて来てやったら・・・・・こんな・・・こんな・・・・くッ、」 「・・・僕が悪いんです・・・・友田さんは悪くない。」 そう言って、布団の中から腕を出すと、そっと泣いている友田さんの背中を撫でる。 「.....やっぱり、今夜はアユムと居たくて、バイト終わってから電話したんだ。」 「あ、...... 携帯の音量を映画館の中で消したままだった。」 僕は、そんな事もすっかり頭から飛んでしまっていた。家に着いたら友田さんにメールするつもりだったのに・・・・ 「電話出ないし、とっくに家に着いてるはずなのに・・・・心配で、来てみたら・・・・ドアのカギも空いてるし、中から泣き声が聞こえるし・・・・」 もう一度、確かめるように、ギュっと回した腕に力がこもる。少し震えながら、それでも愛おしむように僕を包み込んでくれた。 「立てる?」僕の顔を覗きこむと訊いてくる。 「・・・うん」 力ない返事だけを返すと、僕の腕を取って抱き上げる。 「ぅわあ・・っ」 僕の身体は、友田さんにお姫様の様な横抱きをされると、簡単にベッドから降ろされた。 そのままの格好で部屋を出ると、風呂場の方に連れて行かれる。

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