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第83話 *

 今日は、友田さんも裸になると二人でシャワーのお湯を浴びた。 前の時は、ズボンも服もびっしょりになってしまったから、今回は少しだけ考えたみたい。 泡立つスポンジで、僕の身体を丹念に洗ってくれるけど、腰のあたりにきた時にその手は止まってしまった。 僕は俯く。膝立ちで、僕の身体を見上げる友田さんの目と僕の目が合った。 - 友田さん ......... やっぱり、僕の汚れた身体を見るのは辛い? ごめんなさい。という気持ちで、そっと友田さんの頭に手を伸ばす。 その手を取ると、手の平に自分の唇を押し当ててキスをしてくれたが、僕の手のひらを舐めるようにしながらこちらを見るから、変な気持ちになった。 片方の手で僕の腰に手をやると、石鹸で滑る指を後ろの窄みに入れて、ぐるり、と中でひと掻きした。 ヌルンとした感触が自分で分かると、掻き出されて濁ったものは、足を伝い排水溝の溝へと吸い込まれていった。 それが、桃里くんの放ったものだという事は言えない。 何度かそうやって掻きだされていると、自然に僕自身も反応をし始める。 細長い骨ばった指で何度も擦られ、その度に我慢していた僕の顎は徐々に上へと上がった。 「アユ.............」 シャワーの音でかき消されそうな声が聞こえ、その途端僕の身体がビクンと弾んだ。目を開けてみると、僕のものが友田さんの口に含まれていて。 「ぁあっ・・・!!と、もだ・・・さツ・・ん・・!」 まさか。という思いで発した声が、妙に艶っぽくて自分でも照れてしまった。 「............や、.....そんな事.......ダ、ダメ」 痙攣した僕の腹筋が波打つと、それに連動して友田さんの口も動きを増した。含んだ部分が見え隠れして、それを目の当たりにした僕は、自分を自分で犯すみたいな錯覚に陥る。 妙な気分で、友田さんの舌が僕を包むから、放出感を押さえるのに必死だった。 「いいよ.....我慢しなくて.....出し、て.....」 僕の腰を掴むとそう言うが、出来るわけがなくて........。 なんとか友田さんの顔を剥そうと試みるが、尚更強く吸われ、もうダメツ・・・・ あツ............あツ.............あぁ..............ツ は、ぁぁぁ・・・・・ 前かがみになって倒れそうになった僕は、友田さんの肩に手を置いてこらえると、肩で大きく息をした。その時、ちらりと目に入った友田さんの喉仏が、僕の目の前で上下に動く。 「ぇ.......え?......え!!!」 - まさか・・・飲んじゃった? 「だめっ!キタナイよ・・出して!出してくださいツ!」 友田さんの口をこじ開けようと、指を伸ばすが、その手を掴むと 「汚くない。アユムのものは何だって汚くなんかないよ。」 僕の手をしっかり握りしめて言った。 「友田さん・・・・」 恥ずかしかった。我慢できずに友田さんの口に・・・・ 「気持ち良かった?」 俯く僕の顔を見上げて、口元を上げると聞いてくる。 その目はいたずらっこのようだったけど、憂いを含んでいた。 「・・・うん・・・すごく。」 僕は正直に答える。こんな事言ったら変なんだろうけど・・・ 「よかった。・・・嫌な記憶は俺が上書きして消してやるから。気持ちいい事だけ覚えといて・・・・」 「・・・うん」 「先に出て、ちゃんと拭いておくんだよ?後で髪の毛乾かしてやるから。」 そういうと、僕の身体をシャワーで一通り流し、それから僕の背中を押して風呂場から押し出した。 バスタオルで全身をふき取ると、大きめのバスタオルを肩にかけリビングへ行く。 コタツのスイッチを入れ、中を覗くとオレンジ色のほのかな光が目に入り、気持ちが和んだ。僕はすっぽりコタツに潜り込む。足の先でヒーターの網目を擦ると、ザリザリと音が鳴って小さい子供の様に遊んだ。 「何やってんの?」 腰にバスタオルを巻いて、頭からタオルをかけ、上気した顔の友田さんがやって来た。 「あ・・・なんにも・・・」 僕がコタツから出ると、ドライヤーのコンセントを差し込み、早速髪の毛を乾かしてくれる。長い指が僕の髪をすくっては、風になびかせてとかしていくから気持ちいい。 ソファーに腰掛けた友田さんの膝に背中を預けていると、自然に顔があがり、上を向いた。僕を覗き込んだ瞳がニコッと笑ったから、僕も微笑み返した。 「アユム.......好きだよ。大好き。」 ドライヤーを止め、膝に乗せた頭をそっと包むと言うから、僕は思わず息を止めた。 「..............」 あんなに欲しかった言葉。いま、この時もらえるなんて思ってもみなかった。 「.............僕も。......大好きです。」 しっかり友田さんの瞳を見つめながら言うと、上から顔が降りてきて、そっと僕の唇に触れる。柔らかい、暖かい温もりのある唇の感触だった。

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