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第117話

 頭の中で、さっき言った言葉を思い起こす。が、二人を目の前にすると焦ってしまって、変な事を言ったのかどうか分からなかった。 「え、っと・・・・、何?なんか変だった?!」と聞いてみるが、無言の二人。 友田さんと同じ高校へ行きたいと伝えた筈。 それから・・・・・何言ったっけ? 一人でぐるぐる考える。 「分かったわ。アユにとって、謙さんがどれだけ大事な人なのか!」 お母さんは、そういうと僕の肩に手を置いた。 「・・・・そうか・・・、そうなんだ、な・・・・」 お父さんは、少し照れたような顔で僕を見るけど、その後は言葉が続かなかった。 「じゃあ、・・・・いいの?僕、高校変わっても!?」 ドキドキする胸を押さえて聞いてみる。 「ええ、アユが行きたいのなら、どこだって応援するわよ。」 「ああ、そうだね。ぼくも、なにかできる事はしたいと思うよ。」 二人に了解してもらった事で、僕の中の緊張も解ける。 「よかった~。反対されるかと思った。」胸を撫でおろして言うと 「でも、試験があるんでしょ?今から受験勉強できるの?」と、お母さんに聞かれる。 その言葉に、少しだけ胸を張って 「僕は、もう高校の勉強をしていたんだよ。忘れたの?」と言った。 早速、勉強していた事が役にたつ。一応中学の勉強には、自信があった。 他にすることが無くて、ただ時間をつぶすための勉強だったんだけど、していてよかった。 「そうね!そこは大丈夫か。じゃあ、新学期が始まったら先生にお話しするわね!」 そういうと、お父さんの方を向いてニコリと微笑んだ。 すると、お父さんも同じように微笑んで僕の顔を見た。 こんなにあっさりと、話がまとまっていいんだろうか・・・・ 少しの戸惑いはあるけど、初めて自分で自分の道を決めた。 僕の目指す先には、友田さんというしっかりした人物像が浮かび上がってきて、いつか並んで歩けるようになりたいと、心の中で思っていた。 そこに一歩近づける。それがものすごく嬉しかった。

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