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第1話・眠れないッ!! ⑥

 そこで気がついたのは、ラジオをつけっぱなしで眠ったっていうことだ。  信じられない!!  ここ最近、それも毎日、眠りが浅い日が続いていたっていうのに6時間も眠れたなんて!!  しかも、いつも雑音があればすぐに目覚めてしまうのに、それもなかった。  僕は眠れたことが嬉しくなってベッドから飛び起きた。  いつもより足取りは軽い。  嬉しくてそのことを母さんに言ったら、とても安心してくれた。  その日から、もっぱらFMのラジオ番組が子守唄になった。  眠る前にラジオをつけてベッドに入る。  だけどラジオ番組っていってもアラタっていうパーソナリティーじゃないといけないらしい。  他のラジオ番組でもいくらか試してみたけれど、やっぱり眠れなかった。  あのしっとりとした低い声が僕にはちょうどいいらしい。  睡眠できないっていう問題は見事解決した。――んだけど......一難去ってまた一難。  問題はまた浮上する。  だってアラタさんは臨時で雇われたパーソナリティーだ。  以前からパーソナリティーをしていた人はなんでも風邪をこじらせたらしく、声が出ないらしい。

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