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第1話・眠れないッ!! ⑩
第一、名前なんて同じ人はたくさんいるし、声だってたまたま似ているのかもしれない。
アラタさんと井上先生が同一人物であるはずがない。
世間はそんなに狭くはないハズだ。
それに、同一人物かもしれないとか期待して違った時、とても恥ずかしい。
そう自分に言い聞かせても、アラタさんの声が聞けなくなって穴があいたように感じたスースーする僕の胸は、どこかぽわんとあたたかくなった。
あと、ちょっぴり落ち着かなくもなった......。
臆病な僕は井上先生にそのことを訊けないまま、ただ悶々 と日々を過ごしていた。
おかげで僕の眠りは前よりもずっと浅くなってしまった。
そんなある日のことだ。
僕の体がとうとう悲鳴をあげたんだ。
睡眠できないっていうことがピークに達してしまった。
視界は黒と灰色のモザイクが広がって、そうかと思ったら、次の瞬間には、視界が真っ暗闇になった。
昼休憩の時。
僕は廊下で倒れてしまったんだ......。
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