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第2話・僕の救世主。 ④
ここまで一息に言うと、僕は静かに息を吐いた。
心臓がドクドク言ってる。
自分のことを話すと、どうしてこんなに息が詰まるんだろう。
コンプレックスを簡単に口にできない自分がものすごくもどかしい。
その間、井上先生はずっと黙ったまま僕の話を聞いてくれている。
僕は息継ぎのため、口を閉ざしたんだけど、井上先生は続きがまだあるだろうっていうことがわかるみたい。
僕がまた話すのを待ってくれているみたいだった。
井上先生が黙っていなければ、きっと僕はこの続きを話そうとはしなかったと思う。
だって、この続きはアラタさんっていう僕にとって特別な人を通しての出来事だ。
コンプレックスを話すよりもずっと口にすることができない大切なものなんだから......。
だけど、井上先生は言葉を挟まない。
そしてまた、僕は口をひらいて続きを話しはじめる。
「それから毎日、こうやって熟睡できない日が続いてました。でも、今から一週間前くらいの時までは寝る前に放送している、あるラジオ番組を聴くようになってそれも改善されたんです。その番組でパーソナリティーをしている人の声がとても心地よくて、気がついたら朝まで眠れるようになってました。だけど――」
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