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第2話・僕の救世主。 ⑤

「また眠れなくなったのはどうして?」  そこではじめて、井上先生は僕に訊ねた。その声はとてもゆっくりで、とても優しい。  続きを知りたがっているようだ。  眠れるようになった僕がどうしてまた眠れない日々を送っているのか。  井上先生は小心者の僕を馬鹿にするんじゃなくって、僕自体に興味を抱いてくれているみたいだ......。  そんなふうに思ってくれるのははじめてで、僕は少し嬉しくなって、続きを話す。 「もともとパーソナリティーを務めていた人がいて、その人が風邪で寝込んじゃった代わりに彼はパーソナリティーを臨時ですることになったそうなんです」 「なるほど、それで元のパーソナリティーが仕事に復帰して、声が聞けなくなったから、中山君はまた眠れなくなってしまったのか......」 「その人の声を聴いて眠れるとかおかしいって思うかもしれないけど、そうなんです。  それで、その人の声と井上先生の声がすごく似てて......」 「俺の声が、そのパーソナリティーの声に?」 「はい」

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