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第2話・僕の救世主。 ⑩
面白くない奴だって思われちゃう。
――いや、本当のことだけどさ。
でも、僕から電話したんだし、アラタさんと同じ声の人にそう思われるのはなんだかすごくイヤだ。
だから僕は焦って、なんとか言葉を繋げようと必死になった。
「せっ、先生は? ご飯......」
うわっ! 僕ってマヌケ。
声は裏返ってるしドモるとかものすごくバカっぽい!
他人とまともに話せないなんて、最悪だ。
自分の言葉に自己嫌悪たっぷりになっていると、井上先生は何事もなかったかのように、ふつうに言葉を返してくれる。
『うん、食べたよ。っていっても、俺の方はインスタントラーメンなんだけどね』
フフって笑う井上先生の声がすごく、くすぐったい。
あんなに自己嫌悪に陥っていたっていうのに、僕って単純なのかも。
気がつけば、僕も口元に笑みを浮かべていたんだ。
そうして、僕はその日から、夜10時頃になると井上先生と通話をするのが日課になった。
もちろん、夜はぐっすり眠れている。
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