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第3話・発覚! コイゴコロ。 ①

 ――それは井上先生が研修で青空学園に来て2週間経った放課後のことだ。  生徒がほとんど見当たらない中、日直で日誌を書き終えて職員室に届ける時のこと。 「新先生、ここがわからないんです。教えてください」  職員室の前までやって来た僕は、井上先生を呼ぶ女子生徒数人の声にたじろいだ。  なんたって僕は他人と話すのが苦手。  人が多いのも苦手。  でも、たじろいだのはそれだけじゃない。  井上先生のことを、『新』って下の名前で呼んでいたから......。  井上先生と夜、眠る前に話すようになって1週間が経つ。  それなのに、僕は先生のことを下の名前で呼んだことがない。  だけど、女子たちは先生と大して仲良くないのに下の名前で呼んでいる。  僕だって井上先生のことを下の名前で呼びたいよ。  でも、いきなり呼んだら何事かと不審に思われるかもしれない。  これって、井上先生を独占したいって思う、ジェラシーっていうやつかな?  そんな僕が職員室の廊下でつっ立っているのも知らない女子たちは、先生の何かを見つけたらしい。黄色い声が聞こえた。 「あっ、その手紙なに? ラブレター? もしかして彼女から?」

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