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第3話・発覚! コイゴコロ。 ③
その日、僕はけっきょく日誌を職員室に持っていくことができず、机の中にしまって帰った。
「先生、ごめんなさい。日誌を届けるの忘れてました」
いつもの電話をしながら、僕は先生に謝る。
――知ってしまった先生の想いをひたすら隠して......。
だって、知られたらきっと気持ち悪がられる。
同性なのに恋なんておかしいって思われる。
僕っていう人物を先生は受け入れてくれた。
こうして夜遅い時間になっても話をしてくれる。
好きな人に軽蔑されたくない。
『そっか、担任の先生には明日の朝それとなく言っておくよ』
井上先生は優しい。
もっと厳しい人だったら、きっとこんな感情を抱くことなんてなかったのに......。
――ああ、でも。
もしそうだったなら、僕の睡眠不足も解消されなかっただろうな。
そう思えば、ものすごく複雑な気分だった。
その日、僕が井上先生に対する想いが発覚した時から、井上先生の声を聞いても僕の睡眠はまったく改善されなくなった。
1時間どころか、ずっと眠れない日が続いた。
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