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第3話・発覚! コイゴコロ。 ⑤
先生が......僕を支えていてくれたんだ。
「家まで送ろう」
井上先生は担任の先生に一声かけたあと、僕を背中におんぶして、僕のカバンを脇に抱えて教室を出て行った。
なんたって井上先生は教育実習生だけど、今は担任の先生――副担任の副担任ような立場でもある。
だから僕の家も当然知っているわけで――......。
何も言わなくても学校の正門を出て一本径を通った先にあるっていうことは知っている。
大好きな人におんぶされて僕の心臓はドキドキを繰り返し、それでも暖かい背中の体温に触れて揺れるリズムが心地よかった。
井上先生への恋心が発覚して、あんなに眠れなかったのに不思議だ。
.....少しずつまぶたが落ちていく。
「中山くん、鍵はある?」
どうやら井上先生はもう家に着いたらしい。
そりゃ、学校から徒歩10分くらいにあるからすぐ着く。
でも、僕としてはもう少し井上先生にくっついていたい。
だけど井上先生にとっては義務的なことなのかも。
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