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第3話・発覚! コイゴコロ。 ⑦
ふわふわ、ふわふわ。
僕の頭を撫でてくれるあたたかい手。
これが夢の中だっていうことは知っている。
きっと多忙な井上先生は学校に戻って教員についてのアレコレを先生からいろいろ教わっていると思うから......。
これが夢でもいい。
僕の勝手な願望でもいい。
それでも、こうしてずっと頭を撫でてほしい。
僕の側にいてほしい。
好き。
大好き。
すごく好き。
アラタさんよりもずっと井上先生のことが好き。
井上先生への好きがいっぱいになりすぎたんだ。
僕の胸からあふれ出した想いはとうとう口からすべり出た。
「井上せんせ......好き......」
そう言ってみると、胸の奥で何かがストンと落ちた。
――と思ったら、今度は撫でてくれた手が止まった。
「――え?」
大好きなその人の声が妙にリアルに僕の耳に届いた。
びっくりして、目を開けると、そこには大きく目を見開いている井上先生がいた。
まさか......。
――夢じゃ、なかった?
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