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第4話

 歯で下着を挟んでずらし、まだ普通サイズのペニスを出して口に含んだ。唾液を含ませて舌も使い、愛撫してやった。 「ん…、ふっ…」  しばらくすると、硬さが出てきた。少しずつ大きくなってくる。手が使えないから、顔を上下させて擦るけど、大きくなるにつれて苦しくなる。口の中いっぱいに広がる“雄”は、オレの呼吸を邪魔する。部屋中に“じゅるっ”と音が響いて、オレの下半身も刺激する。  ずいぶん長い間顔を往復させていたら、髪の毛をつかまれた。もしや頭を押さえつけられてイラマチオ…と思ったが、顔を離されただけでホッとした。 「あまりにも下手くそだったら、イラマチオさせるつもりだったけどな。努力は褒めてやる。そろそろ、欲しくないか?」  そう言われて、オレは何度もうなずいた。上を向いている〈俺〉のペニスを見て、ゴクリと唾を飲む。  膝でベッドの上に乗り上げ〈俺〉の膝にまたがった。〈俺〉はお尻に手を添え、挿入しやすいよう、ムギュッと広げる。狭い入り口に先端が当たる。狭いといっても充分に慣らしてあるから、ゆっくり腰を沈めるとスムーズに入った。すぐに腰を動かす。 「あっ…ああ…、いいっ…!」  中でグチュグチュといやらしい音を立てる。腰の動きを早くすると、その音はもっと早く大きくなる。 「淫乱だな。そんなにがっついて」  パシッと尻を叩かれた。その痛みは心地よく、もっと叩いてほしくてオレは、さらに腰の動きを激しくした。 「行儀の悪い奴だな」  パシン!  軽い痛みはあるけど、どうやら手をほんの少し丸めて、手のひらに空気を含む感じで叩いてくれるから、飛び上がるほどの痛さは無い。  こいつ…こんなに優しいはずないのにな…。どうせ、自分の手が痛くないように、だろう。  痛みよりも、尻を叩かれる屈辱感の方が強い。だが、その屈辱感に背中がゾクゾクする。  姿勢を保っているのがつらくなってきた。こいつの首筋か背中に腕を回すことができれば、体勢を維持できるのに。  スルリと布が滑る音がした。〈俺〉が自分のネクタイをほどいた。そのネクタイをオレの首の後ろに回し、両端を握って馬の手綱を持つ形になった。  四十八手の体位の一つ、流鏑馬(やぶさめ)だ。手綱に引き寄せられ、辛うじて体勢が安定する。 〈俺〉はさらにネクタイを引き、オレの顔を間近に引き寄せ、耳元でささやいた。 「この暴れ馬は、調教しがいがあるな」  もう…調教でも何でもしてくれ。でないと、おかしくなりそう…!  意識が飛びそうになったとき、また尻を叩かれた。 「あんっ!」 「もっと鳴けよ、メス馬」 〈俺〉は全く動いていない。オレばっかりが動いてて悔しい。それでも腰は止まらない。尻を叩かれるたび速歩はギャロップに加速していく。 「あ…、ふぁっ…、い…いいっ!」 「そーら、止まれ。常歩だ」  両手で尻を力強く押さえられた。動こうとすると、バシッと思い切り尻を叩かれた。 「いたっ!」 「聞こえなかったのか、常歩だ。躾のなってない馬だな」  上下ではなく、前後左右に腰を揺らす。時々、大きくグラインドをする。本当は物足りない。もっと強い刺激が欲しい。そのためには、上下の単調な動きより、こっちの方が気持ちいい。 「いいぞ、その調子だ」 〈俺〉は勢いよく下から突き上げた。 「はぁっ…!」  体がのけぞり倒れそうになると、〈俺〉は手綱(ネクタイ)を引く。尻も抱えてくれるが、その後は必ずひっぱたかれる。バシッと大きな音が響く。 「あ…ん…」  うっすらと目を開けると、意地悪なあいつの目が、眼鏡の奥でオレを見据える。どんなに意地悪だろうと冷ややかな目つきだろうと構わない。〈俺〉の目には、オレしか映っていないから。 「少しは利口な馬に成長したな。褒美をやろう」

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