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第三話 夕立と吸血鬼

 森の館に入ると、清涼はきょろきょろと辺りを見渡して降夜の気配を探した。  一人で住んでいる……にしては、広すぎるこの館は、いつ来てもしんと静まり返っていて寒々しい。  こんなところで、数百年……  たった一人で過ごすなんて自分にはとても無理だと清涼は思う。  だが……降夜はそんな清涼の感傷を、軽く笑い飛ばす。  気楽で……意外といいものだよ?降夜が微笑んだのは……一体いつの記憶だろうか?  いけない。  とにかく……早く例の犯人を連れて帰らないと……!慌てて、浮かんだ記憶に蓋をして清涼は館の中を歩き出した。  そして、一階の奥の扉が少しだけ開いていることに気が付いた。  淡く漏れる光にほっとしながら近づいた清涼の耳に届いたその声に、思わず足を止めてしまうのだった。 「……っ!どうしてなんだよ?いつだって、私があげた首飾りも…腕輪も…耳飾りも…!嬉しそうに受け取ってくれたのに…笑ってくれたのに…また会いたいって…言ってくれたのに!なんで?どうして…アイツなんだよぉ…!」  涙に濡れた……男の慟哭がその部屋から流れ出してきて、思わず顔を顰めてしまった。  清涼は先ほど助けた二人から、事件のあらましを聞いていたのだ。  一人の女を巡って……いや、一人の女が二股をかけていた。というのが正解か。  女に恋人が居ると知らなかった男が、女にのぼせ上がって……かなりの金額の物を貢ぎ続けたらしい。  いいカモを捕まえたと、女もその恋人の男も上手い事自分たちの関係を隠して……一年以上もそれを続けていたが、いつまでも騙されていると気付かない男を揶揄ってやろうと、恋人の男が、自分たちの密会現場にその男を呼び寄せた事が……この事件を引き起こしたのだ。  馬鹿だろ……?それを聞いた清涼の感想はそれだけだった。  自分に振り向いてほしくて……稼ぎのほとんどを女が望む貴金属につぎ込んだ男の方も、確かに、ちょっと冷静になれと言いたいところもあるが……人は、自分が好意を寄せた相手になら、どんな望みも叶えてやりたいと……そう思う心を持っているものなのだ。  行き過ぎた感はどうしても消せはしないが……責められないだろう。  それを、面白半分に男を傷つけて……その絶望した顔を見て笑ってやろうなんて……!  刺されて当然だとは、流石に清涼でも言えなかったが、それでも少しは反省しろと言ってやるつもりだった。  まあ……今はそんなことを言っても聞く耳を持たなそうだったので、黙って家に送ってやったが。   「そうだね…君は騙されていたんだ。でも…君はもしかしたら…って薄々は気が付いていたんじゃないのかい?だって…彼女を信じていたのなら…刃物を持ってあの場所に行ったりはしなかったろう?だから…君も同罪さ。本当に彼女を愛していたのなら…例え嘘だと分かったとしても、その手で彼女を傷つけたりはしなかったはずだよ。見返りを求めた時点で…君は彼女を愛してはいなかったんだ。だから…もう彼女も、その男も…そして君自身を許してあげなよ」  甘い……柔らかな降夜の声だった。  そして、男に囁いたその言葉に清涼は驚き戸惑ってしまう。  何故……?どうして、そんな優しい声をしているのだ。  吸血鬼の癖に……人間じゃない癖に……なんで……?  清涼には、時々降夜が吸血鬼だと信じられないことがあった。  昼間も普通に出歩くし、のんきな顔で清涼が住む家にしょっちゅう遊びに来るわ……教会のすぐ近くに来ても全然辛そうじゃねえしな。  それに……まるで人間みたいな表情を浮かべるのだ。  怒った顔も、少し困ったような……笑顔も。全部全部……演技だとは清涼には思えないのだった。  今回だって……  わざわざ清涼に村人が大変だと教えるために、使い魔を飛ばしてくれたのだ。 「ん…っ」  突然、甘い……降夜の声が鼓膜を震わせて、清涼ははっと我に返った。  なんだ?一体何が……疑問が頭に浮かび、足音を忍ばせて扉の隙間から部屋の中を覗き込めば…… 「……っつ!?」  思わず、息を飲みこみ身体が硬直した。  暖炉の前に置かれたソファーの上に裸の男の上半身が見えた。その下に白い肌を薄っすらと紅色に染めて降夜が……男の腕に抱かれて微かに身悶えていたのだった。  どうして……!  気が付けば、部屋に踏み込み……夢中で腰を振っている男の腕を掴んでいた。 「あ…っ…そう…君?どうして…?」  いつもよりも上気した……見たこともないような降夜の表情を見て、清涼は眉間に皺を寄せると無言で腕を掴んだ男の顔を見た。  そこに浮かんだ恍惚とした……夢見ごこちのその表情に、ちっと舌打ちをした。 「……お前…一体なにしてやがるんだ?吸血鬼の魅了の力を使いやがったな…!もういい。後は教会で面倒を見るからよ…とっとと、その術を解きやがれ!」  低く唸る様にそう言うと、降夜を鋭く睨み付けた。  清涼の言葉に、降夜はやれやれ……仕方ないねと、まるで……悪びれない態度で男の顔を引き寄せて、瞳を覗き込んでそっと口づけを清涼の目の前でしてみせた。 「……うん。これで俺のかけた術は解けたよ。まったく…君はせっかちだなあ…!ちゃんと明日の朝には君の処へ連れて行くつもりだったんだよ?」  そう言って、男の身体の下からするりと抜け出すと、床に落とされた自分の白いシャツを羽織って清涼に向かって、困ったような顔で笑顔を向けてきたのだった。  なんで……?どうして、笑えるんだと清涼はムカムカした気持ちのまま、降夜を睨んだ。  こんなことをして……俺が喜ぶとでも思っているのか……?  そう、怒鳴りつけてやりたい衝動に駆られたが……それを押し殺した。  言っても無駄だと思ったからだ。  こいつはやっぱり人間じゃねえから……吸血鬼なんだからと……そう思えば清涼の心は冷えていくのだった。 「……あの二人は、命には別状ねえってよ。わざわざ教えてくれた礼は言う。ありがとうよ!だが…これは、一体どういうことだ?答えによっては…お前を許さねえぞ。まさかこいつの血を飲むために誘ったんじゃねえだろうな?」  押し殺した声で、降夜を問い詰める清涼の顔を見て……降夜は首を傾げた。  誘う……?不思議そうに呟いて、ああ……ようやく合点がいったと苦笑するのだった。 「違うよ?言ったでしょ。その人、森の中で会った時は、随分と思いつめていてね…ほっとくと自殺ちゃうかもって思って、とりあえず魅了して家に引っ張り込んだんだ。男ってさあ…一回出しちゃえば結構色んなことを昇華できちゃう生き物だから…さ。落ち着かせてあげようかなって思ってね?身体のどこにも牙の痕なんてないでしょ?全く騒君は酷いなあ…人を血に飢えた獣みたいに言ってさあ…!」  そう言って、男が脱ぎ捨てたらしい服を床から拾い上げて、優しい手つきで着せかけた。  まるで……恋人か愛人にでもするように。   「そうかよ。取りあえずこいつは、教会に連れて帰る。面倒かけたな…」  降夜から引き剥がすように、まだ呆然としている男を肩に担ぎ上げると清涼はくるりと背を向けた。 「うん。お疲れ様騒君。今夜は疲れただろうから、明日は無理しないんだよ?」  背中に……降夜の声がそっと掛けられたが、それに返事をしないで清涼は森の館を後にした。  まったく!あいつは……!  腹立ちまぎれに、舌打ちをしながら清涼は足音も荒く薄暗い森の中を歩くのだった。  いくら村人を助ける為だとはいえ、あそこまでする必要など本当にあったのか?  錯乱していた男を落ち着かせる為とか言いながら……本当は自分の欲望を満たす為だったんじゃないか……?そう思ったところで余計に苛々が募るのだった。  だって……降夜のあんな声も、あんな表情も清涼は見たことが無かったのだ。  まあ……普通に考えて当たり前なのだが、それでも腹が立つのだった。  しかも……清涼にその現場を見られたというのに……なんなんだあの態度は?少しは気にしろよ……!  それとも、人に見られることなど気にならないくらいに当たり前のことなのか?アイツにとっては……?そう思うと、余計にムカムカとした気持ちが込み上げるのだった。  清涼の気持ちなんて、きっと気づいてもいないのだろう……一晩中人助けに駆け回った清涼を気遣う言葉は……とても優しい響きを持っていた。  あんなことを、平気でした癖に……人の気持ちを振り回した癖に。  それでも清涼を心配していることだけはしっかりと伝えてくるなんて……本当に頭にくると思って溜息を吐いた。        結局家に戻ったものの、碌に眠れなかった清涼は、翌朝非常に機嫌の悪そうな顔で朝の礼拝に出て村人たちを不必要に怯えさせてしまい、教会の主である神父に苦い顔をさせる羽目になってしまったのだった。  くそう……!これも、それも全部アイツの所為だ。  吸っていたタバコを噛み潰して足で揉み消すと、腹立ち紛れに近くに落ちていた石を蹴り上げれば……それは物凄い勢いで近くの繁みに飛び込んで行った。  あっやべ……!誰もいないよな……?慌てて繁みの中を覗いて見るが、幸いな事に人も家畜もいなかったことにほっとした。   こんなに、清涼が苛々するのには……もちろん訳があるのだ。  つい先ほど……怪我をした二人に教会からの裁定を伝えにいったのだが……  いわゆる神の名の下に罪を悔い改めるよう説教をしに行ったところ、自分たちは被害者で、あの男が悪いと二人が二人そろって言い始めたので……清涼は、額に青筋を立てながらも……ぶん殴りたい気持ちをぐっと堪えて、人を騙して……その上人の気持ちを踏みにじり、嬲るような真似をした二人の態度は目に余る。  もし、それを反省する気持ちがないというのであれば……きちんと中央教会の罪人を裁く機関に報告して犯罪者の更生施設に送ることになるが……それでもいいか?と聞いてやったのだ。  それに対して……二人は先ほどまでの剣幕が嘘のようなしおらしい態度で、ご迷惑を掛けて申訳ありませんでした!と平謝りに謝ってきたので……清涼は溜息を吐いた。  深く呼吸をして、額の青筋をなんとか引っ込めた清涼は、神父さまは誰も死ななかったことを神に感謝して、これから半年間、誰よりも早く礼拝に来て礼拝堂の掃除を手伝うことと、誰よりも長く、神への感謝の祈りを捧げることを条件に、今回の件は大事にはしないと言っている……ということを伝えたのだった。  それを聞いて、神に深く感謝しますとペコペコと頭を下げる二人を、冷めた目で見た後に……それじゃあ早速明日から、奉仕するようにと告げて清涼はその場を後にしたのだった。  やりきれない……気持ちだった。  あの二人がしたことで……騙された男は、暫くの間故郷の地を踏むことが出来なくなるのだ。  流石に、同情の余地があるとはいえ、殺意を持って刃を握り……二人の人間に怪我を負わせた人間を無罪放免にしてやるだけの慈悲を、教会は持ってはいないのだ。  教会は、神への信仰を説く機関であると同時に、罪を犯した人間を、更生させる為の機関でもあった。    昨晩遅くに教会に連れて来られた男は、自身の罪をよく承知しており……深い反省の色が見えた。  そのことを神父様は非常に喜ばれて、それならば中央教会にはあまり重い罰は必要ないと報告しようと言われて微笑んだ。  恐らくは、三年ほど……この村を離れることにはなるだろうが、中央教会の布教活動の拠点作りを手伝うことになるだろうと言われたのだった。  人を殺害しようとしたにしては、比較的軽い裁定が下るだろうということには、清涼も少しだけほっとしたが…… 「本当に、ありがとうございます。神父様」  今朝方、誰よりも長く神への感謝の祈りを捧げて……礼拝堂の清掃を自ら進んで手伝いながら穏やかな表情で、深く頭を下げて清涼に礼を言った男は……昨晩二人の人間を殺そうとしたなんて思えない、まるで憑き物が落ちたような落ち着きを見せていた。  降夜が言っていたが、あれか……?やっぱり……あれの御蔭なのか?  あんなことをしてと清涼は憤ったが……この男の様子を見れば、降夜がしたことは間違いではなかった……のか。色々納得できないし、複雑な気持ちだった。     「まあ…色々大変だったが、これに懲りて…あんまり思いつめないようにな?奉仕活動でひたすら身体を動かしてよ…頭空っぽにして、難しく考えすぎる癖を治して来い。そしたら、もう一度最初からやり直せばいい。今度は大丈夫だろ。同じ失敗なんてするんじゃねえぞ?」  笑いながら、そう言って……頑張れよと励ます言葉を贈ったのだった。   「はい。頑張って…生まれ変わりたいと思います。それで…実は神父様にお聞きしたいことがあるのですが…」 「ん?何だ?」 「昨晩…私を救って下さった…あの美しい方はどなたですか?森の中で…もう死ぬしかないと悲嘆に暮れていた…私を励ましてくれた優しい方です。もし叶うのであれば…罪を償った後お会いして、お礼が言いたいのです」  真剣な眼差しを向けて来る男のその言葉に……清涼は思わず息を飲んだ。  まさか……いや、そんなことがあるのか……?  じっと……自分を見つめて来る男の思いつめたような表情は、まず間違いなくそれで……その感情を生み出す原因は、たった一つしかないと言う事も清涼はよく知っていた。  そして、清涼はその男の言葉に対する答えを一つしか持っていないのだった。   「……それは…できねえ。お前はもう二度とアイツに関わるな」 「何故です?あの方がいたから…あの人のお蔭で私は…!」  清涼の答えに必死で食い下がろうとする男に向かって、容赦なく清涼は言葉を続けた。 「……アイツは、悪魔だ。優しい笑みと…甘い言葉で…人間の弱さに付け込む魔物なんだよ。だから、お前は…もう二度とアイツに会っちゃいけねえんだよ」  そんな……と、声を詰まらせ絶望に顔を暗くした男を見て、清涼は心の中で小さく詫びる。 済まないと。  生まれたばかりの恋慕の情を諦めさせるのは可哀想だが、仕方がないのだ。  その恋は……決して報われることなどないのだ。  人が、悪魔に思いを寄せる事など許されはしない。  神は……そんな裏切りを許しはしないのだ。  やはり……降夜のしたことは、間違いだったのだと清涼は思った。  こんな弱り切った心の人間に、降夜の毒は効き目が強すぎたのだ。  まるで……天使のような美しい外見と砂糖菓子のような甘い声を持つ……彼は紛れもない悪魔だった。 「……例え…悪魔だとしても構わない…なんて神父様に言ったら、叱られてしまいますね?」  ポツリと零された呟きに、眉を上げて清涼は溜息を吐いた。  まったく……どうして、こう……面倒な事ばっかり起こしてくれんだ?今すぐにでも降夜に怒鳴りたい気分だった。  次回からは、こんなことが無いように見張っておかなくては……そう思った清涼は男の縋るような目を見つめて、静かに最後の切り札を切った。 「ああ。本気で怒るぞ?それにな…アイツには…もう好きな人がいるんだよ。だから…諦めろ!」      あの後……男は静かに涙を零して、そして……微笑んだ。  羨ましい……!あの人に愛される人はきっと幸せだろう。  分かりました。私もあの人の幸せを願って……  頑張って神への祈りと共に奉仕して参りますと清涼に向かって告げたのだった。    物思いに沈んだまま……夕暮れが迫る道を家に帰る清涼の頬に、冷たい滴が落ちてきた。上を向けば……いつの間にか雨雲が空を覆いぽつぽつと雨を降らし始めた。 「あ!いけねえ!今日は大量に洗濯したんだった…」  今朝は眠れないからと早くに起き出して、溜まっていた洗濯物と、ついでにシーツも洗って干してあることを思い出して、清涼は慌てて駆け出した。  やべえ!折角干したのに雨に濡らしたら無駄になっちまうじゃねえか!  それは、困ると焦りながら駆け続け本降りになる前に、家の裏庭に干した洗濯物の前に着いた清涼は……思わずその場に立ち尽くしてしまった。   「……っ!降夜…!」  さっきまで頭の中でずっと考えていた人物が、突然降り出した夕立に髪と顔を濡らしながら……清涼が干していた洗濯物を、一心不乱に取り込んでいた。  何故?どうして…… 「あ!騒君…早く!君…そっちから取り込んでくれないかな?まだそんなに濡れてないから、早く家に入れて明日干せば、なんとかなりそうだよ!」 「う…ああ。分かった!」  何故お前がこんなところで……しかも洗濯物を取り込んでいる?清涼は疑問に思ったが……それでも、清涼は降夜に言われた通りに手早く洗濯物を、次々と腕に取り込み裏口のドアへと駆け寄ると、鍵を開けて降夜を急かした。  早く来いと言った清涼に驚いた顔をしたが……降夜は、頷いて清涼が開けたドアから家の中に静かに入って来た。 「……ちょうど降りはじめだったから良かったね?」  清涼が手に持った洗濯物を、居間の窓の傍にあるソファーに置いて振り返ると、降夜は微笑んでそう言った。 「……なんで、てめえが洗濯物を取り込んでんだよ?ていうか…何しに来やがった?」  清涼は、そう言って濡れた前髪をかき上げる降夜を睨み付けた。 「うん。やっぱり、昨日の人がちょっと心配でね…様子を見に来てみたんだけど、急に雨が降って来たでしょ?騒君の家の方を見たら、洗濯物が一杯干してあったから、慌てて取り込んでいたところに君が帰って来たってわけさ。でも、良かったね。俺が来て上げたお蔭で洗濯物が濡れずに済んで助かったでしょ?昨日の人助けのこともあるし、なんかお礼してくれてもいいんじゃないかな~?」  ニコニコと笑いながら、降夜が清涼の傍まで近寄ると、首を傾げてそんなことを言ってきた。  いつもの降夜だった。  清涼が良く知る……減らず口ばかり叩く腹ただしい男だった。  昨日の……あんな降夜は、清涼は知らない。  まるで……別人じゃねえか。  あれはひょっとしたら……夢だったのかもしれないなんて思った。 「……そうかよ。礼が欲しいのかよ?」  清涼は、溜息を吐いて降夜の顔を見つめた。  深紅の……まるで宝石みたいに綺麗な瞳が驚きに丸く見開かれた。 「え?本当にお礼をしてくれるの…?」  おどおどと……自分が言い出した癖に、困惑顔で子供のように、少し期待を滲ませて……降夜が自分を見つめて来る事に、清涼の中で何かが音を立てて……切れた。 「……ああ。お前が欲しい物…くれてやるよ」  清涼はそう言って……降夜の手を掴んだ。  その白い手はヒンヤリとして……酷く冷たかった。

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