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第7話

『花言葉は確か……』 花屋の店員の言葉が頭に浮かぶ。 「オレンジウムの花言葉は…」 突然言い出した桃城の言葉に海堂は桃城の顔を見る。 「……蕾のままでいて…清楚…可憐…」 「そうなんですか…」 オレンジウムの小さな花弁に触れながら、海堂は呟いた。 怒気を含まない海堂の表情に、たちまち桃城は抱き締めたい衝動に狩られたが、それをグッと堪える。 「なぁ…海堂……」 「何ですか?」 海堂は桃城の言葉で、視線をオレンジウムから桃城へと向ける。 「お前…さ」 「はい?」 「……ホントに何も…覚えてないワケ?」 「……」 海堂の視線が再びオレンジウムに戻る。 花弁を弄りながら、海堂がぽつりと言う。 「俺が事故に遭う寸前…目の前に貴方の顔があった事だけは覚えています……」 「………」 『悪ィ悪ィ!また遅くなっちまったよ!』 『桃城っ…馬鹿ッ!お前っ……!!』 「!!」 思い起こされるあの時の出来事。 桃城は振り切るように顔を上げる。 「……桃城さん?」 「…っ海堂!」 桃城は海堂の両腕を掴んだ。 「……!何するんですかっ!?」 「海堂…お前の事故は…俺のせいなんだ…」 「……?」

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