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第0.1話
キスは嫌いじゃない。寧ろ、柔らかくていい香いが漂う女の子は好きだ。癒される。
どんな子と当たるんだろう、と見渡したが―
「2番俺だわ。え、これ男とでもキスすんの?」
キスの相手は、男だった。
矢吹雅人。自己紹介で確かそう名乗ったコイツは、背が高くてモデルのようなスラっとした体型。顔はもちろん、憎いくらいに整っている。
「男同士とか盛り上がんねぇだろ。リセットリセット!」
当たり前に相手は女の子だとばかり思っていた俺は、当然無効になるだろう、と声を張った。
「いや、寧ろ面白くね?」
「ウンウン!イイと思う!」
「美形同士なら何も問題ないよ〜!やっちゃえやっちゃえ!」
信っじらんねぇ〜!そりゃ自分でも中の上くらいじゃね?とは常々思っていたけど、俺には男と熱烈あま〜いキス!なんかする趣味はねぇよ!
キスコールが始まる中、俺と矢吹は座ったまま睨み合っていた。いや、見つめ合っていた?
「ほらほら〜!焦らすともっと恥ずかしい事してもらうよ〜?」
王様に背中を押されて、俺はあれよあれよと矢吹の目の前。それほど身長の高くない俺は、高身長の矢吹と並ぶと巨人と小人。自然と上目遣いになる。
「しかたねぇ。犬に噛まれたとでも思って我慢な。」
「え?……っ!」
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