3 / 132

第0.1話

 キスは嫌いじゃない。寧ろ、柔らかくていい香いが漂う女の子は好きだ。癒される。  どんな子と当たるんだろう、と見渡したが―  「2番俺だわ。え、これ男とでもキスすんの?」  キスの相手は、男だった。  矢吹雅人。自己紹介で確かそう名乗ったコイツは、背が高くてモデルのようなスラっとした体型。顔はもちろん、憎いくらいに整っている。  「男同士とか盛り上がんねぇだろ。リセットリセット!」  当たり前に相手は女の子だとばかり思っていた俺は、当然無効になるだろう、と声を張った。  「いや、寧ろ面白くね?」  「ウンウン!イイと思う!」  「美形同士なら何も問題ないよ〜!やっちゃえやっちゃえ!」  信っじらんねぇ〜!そりゃ自分でも中の上くらいじゃね?とは常々思っていたけど、俺には男と熱烈あま〜いキス!なんかする趣味はねぇよ!  キスコールが始まる中、俺と矢吹は座ったまま睨み合っていた。いや、見つめ合っていた?  「ほらほら〜!焦らすともっと恥ずかしい事してもらうよ〜?」  王様に背中を押されて、俺はあれよあれよと矢吹の目の前。それほど身長の高くない俺は、高身長の矢吹と並ぶと巨人と小人。自然と上目遣いになる。  「しかたねぇ。犬に噛まれたとでも思って我慢な。」  「え?……っ!」

ともだちにシェアしよう!