10 / 132

第4話

 『俺と飲み直さない?家でも良かっただけど。』  『決まり。俺紺野隆明(たかあき)ね。君の名前は?』  付いて行く言い訳を並べるのは簡単だった。ああ、俺ってこんなにも人肌に飢えていたのか、なんて。  「太一くん、服脱げる?そのままだと苦しいでしょ。」  「うぅ…ん、」  「なに?そんなに顔擦り付けて、猫みたいで可愛いね。」  ヤケなのかな、家でも良いならなんて言われて、考える間もなくついていく、って頷いた。 酔っててもうよくわからないし、7年間甘えてこれなかった分、少しくらい甘えてしまっても良いんじゃないかって。  「ねぇ、俺とキスしてよ。あまいキス。」  「いいね、その誘い方。その表情もいい。けど、ちゃんと意識ある?起きて記憶ないとかヤだよ俺。」  「だいじょうぶだから、ね、しよ?」  「キスで終われるか、わからないけど?」  「……いい…から…」  執拗いだろうし、失礼だろうとも思う。俺はこの人に特別な感情もなく、他の男への感情を捨てたいが為に迫っている。  「どこに、してほしい?」  「ぜんぶ……」  「ふふ、欲張りだなぁ。」  耳元で囁かれると、この気持ちの良い低音が擽ったい。服を脱がす手がゆっくりと身体を撫でていき、それがもどかしい。はやく、はやくちょうだい。

ともだちにシェアしよう!