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第4話
『俺と飲み直さない?家でも良かっただけど。』
『決まり。俺紺野隆明(たかあき)ね。君の名前は?』
付いて行く言い訳を並べるのは簡単だった。ああ、俺ってこんなにも人肌に飢えていたのか、なんて。
「太一くん、服脱げる?そのままだと苦しいでしょ。」
「うぅ…ん、」
「なに?そんなに顔擦り付けて、猫みたいで可愛いね。」
ヤケなのかな、家でも良いならなんて言われて、考える間もなくついていく、って頷いた。
酔っててもうよくわからないし、7年間甘えてこれなかった分、少しくらい甘えてしまっても良いんじゃないかって。
「ねぇ、俺とキスしてよ。あまいキス。」
「いいね、その誘い方。その表情もいい。けど、ちゃんと意識ある?起きて記憶ないとかヤだよ俺。」
「だいじょうぶだから、ね、しよ?」
「キスで終われるか、わからないけど?」
「……いい…から…」
執拗いだろうし、失礼だろうとも思う。俺はこの人に特別な感情もなく、他の男への感情を捨てたいが為に迫っている。
「どこに、してほしい?」
「ぜんぶ……」
「ふふ、欲張りだなぁ。」
耳元で囁かれると、この気持ちの良い低音が擽ったい。服を脱がす手がゆっくりと身体を撫でていき、それがもどかしい。はやく、はやくちょうだい。
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