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第8話

 「………ん、…」  酷い頭痛と身体の痛みで目が覚める。見慣れない紺のカーテン、肌触りの良いシーツと掛け布団、どこからか漂うトーストの匂い。  「あ、太一くん起きた?まだ歩けないだろうから、朝食出来たら持ってくるよ。まだゆっくりしてな。」  「えっ、と、あの……」  「え?もしかして昨日の事覚えてない?」  昨日の、こと……見事な二日酔いで働いてなかった頭が、記憶の一片を手繰り寄せた。  わけもわからず目の前の人に縋って、しかしそれは苦痛ではなく、隠し通せない快感だった。  初めての事に自分はどうにかなってしまうのではと不安に駆られ、助けを求めるように名前を呼ぶと、嬉しそうに自分の名前を呼ばれた。むず痒くなって顔を背けると、深くまで入り込まれ為す術もなく果てた。 俺は昨日この人に、  「その様子じゃ、ちゃんと覚えてるみたいだね。良かった。」  「うっ……恥ずかしいので、ソレ……やめてください……」  「ソレ?」  話している最中、隆明さんは額や頬、首筋へ軽くキスを落としては撫で、きっと赤い跡があるであろうそこを眺めては微笑んでいた。  居た堪れない……俺は男で、隆明さんとは一晩限りの関係のはずで、こんなに労わるように触れられるのは心底恥ずかしい。まるで、最愛の人のような扱いをされる。

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