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第19話
「そうだ、太一くん流石に明日は仕事だよね?今日家に帰るならワインは飲まないでいるけど…どうする?パスタに合うワインがあるんだけど。」
帰り道、隆明さんはもう夕飯のメニューを決めたのか、俺にそんなことを言う。
そんなの、選択肢なんかあってないような物じゃないか…
「ほんと、隆明さんってズルいですよね。」
「そうだよ。俺はズルい大人だ。それで、決まった?」
「朝、送って下さいね。」
「もちろん。じゃあ今夜は楽しく呑もう。昨日みたいな悪酔いした君は、あまり綺麗じゃない。心からの笑顔がみたいよ。」
ムっとした顔で嫌味を言ったつもりだったのだが、隆明さんはそんな事よりも、昨日の俺の酔い方が気に入らなかったみたい。
心からの、笑顔…
「ちゃんと、前見て両手で運転して下さい。事故とかヤです。」
「やだな、ちゃんと見てるよ。信号が赤の間くらい可愛い子の顔見ちゃダメかい?」
「っダメです!ほら!青になりましたよ!」
優しく、愛しいものを見る目をした隆明さんに、頭から頬までをゆっくり撫でられ、顔がぶわっと熱を持った。見つめられているのだから隠しきれはしないが、咄嗟に顔を背けて突っぱねてしまった。
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