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第21話
「あ〜エプロン買えば良かったな〜」
「エプロンですか?」
「だってほら、可愛い子が料理するのに白いフリフリのエプロンは付き物でしょ?」
……うう、なんだか隆明さんの考えそうな事が段々わかってきた気がする。エプロンって言われた時に、どうせそう言う事だろうなって…
「そう言うプレイだったらお断りですよ。」
「え!?そのつもりじゃなかったんだけど…プレイじゃなければ付けてくれるんだ?」
「!しまった……」
からかわれては俯いて押し黙って、最後は隆明さんに優しく撫でられて絆される、って言うパターンが出来上がっていた。仕返しで先手を打ったつもりだったが、完全に墓穴を掘る形となった。
慣れないことはするもんじゃない…。
「プレイじゃなくても勘弁ですー!」
「ごめんごめん。」
「隆明さんすぐからかうんだもん。次言ったら帰りますから。」
「わー!わかった!もう言わない。言わないから帰らないでよ。」
「……言わないなら…いいです…」
「良かった…さ、ご飯にしよう。リビングに運んでくれるかな?」
あーもうなんか、恥ずかしい…っ、だって、隆明さんの目がすっごい優しい。ただの他人よりも深い関係になれたんじゃないか、ってむず痒いし、勘違いしてしまいそう……
俺は昨日まで、別の男で頭がいっぱいだったのに。この人は一晩でそれを上書きして見せた。
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