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第25話

 「え、じゃあもしかして…セフレ?良くないよ〜そう言う関係。好きなら付き合う、そうじゃないならセフレ解消。女の子には誠実に接するべきだよ〜?」  「いえ…えっと、何故そうだと…?」  「だってホラ、跡付いてる。」  世話好きな部長に捲し立てられる。何故俺に恋人が出来たと思ったのだろう…?と疑問に思っていると、部長は首元をトントン、と人差し指で軽くノックした。  !そう言えば、昨夜隆明さんは痕を残しては楽しそうに撫でていたんだった…見えていたのか!  「っ!これは…っ、その、………確かに、良くないですよね、」  「その子の事、ちゃんと好きなの?」  「………まだ、よくわからないんです。最近まで俺、別の人に片思いしてて…急にそんなことになって、でも相手は付き合いたいってハッキリ言って来ないし、」  相手は女の子ではなく隆明だが、気付けばするりと口から滑るように話してしまっていた。  「相手は、まだ俺と会うつもりみたいなんです。でも、どう言う意図があるのかわからなくて……」  「そうだな〜。真面目な篠崎が突っぱねずにこうやって悩んでるって事は、少なくとも篠崎にとってもその子が必要だって事だよ、きっと。手放したくないなら、ちゃんと告白するんだよ?」  「…でも俺、なんか軽くないですか?つい昨日まで別の人が好きだったのに、」  「恋って、そんなもんだよ。よく言うだろ“恋に落ちる”って。落ちてしまったもんはしょうがない。この子のこんなところが好きだな〜ってのが増えて募って、どうしようも無く恋焦がれる。」  焦がれてしまえば、もう目を背ける事なんか出来ないんだよ。と、真剣な表情で説かれる。彼もまた、恋に悩んだ過去があるのだろうか。

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