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第40話
モテる男の言うことは、あながち間違いではなかったのかもしれない。
「………もしもし、」
「あ、太一くん?連絡出来なくてごめんね、今大丈夫だった?」
金曜日の夜。やはり隆明さんからは何の連絡もなく、今週もきっと会えないんだろう。もしかしたら本当に終わりなのかもしれない。と一人寂しくベッドに入ったところで、着信が入った。
「たかあき、さん……大丈夫ですけど、どうしたんですか?」
電話越しだから、きっと声が震えている事までは伝わっていないはず。嬉しくて、胸が詰まって息が出来ない。ああ、好きだ。この人が好きだ。
「いや、あんなに可愛いメールなんて送られたら、構ってあげないとと思ってね。忙しくて大分遅くなったけど。」
「あっ!あれは友人が面白半分で……!」
「あれ、そうなの?じゃあ太一くんは俺に会えなくて、寂しくなかった?」
寂しかったに決まってる。理由もわからず、どうする事も出来ない気持ちが溢れて堪らなかった。
この男はほんとうに、ずるい。
「まあ、休みの日に一人で食事をするのは、久々だったので物足りなかったですけど、」
「今日はいつもより少し素直だね。」
「……べつに、俺はいつも素直です。」
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