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第41話

 言ってしまおうか。  困らせてしまうかもしれない。振られてしまうかもしれない。もう、会えなくなるかもしれない。でも、やっぱり―  「あの、明日って、会えますか?」  「そうだ、イイ物があるから、朝から家においで。太一くんが良ければ。」  「いいもの、ですか?」  緊張して、安心して。最近の俺の感情はすごく忙しない。 想像していた返答とは違ったが、会えるのなら何でも良い。会って伝えたい。今後会えなくなる可能性があるのなら、たとえそれが最後だとしても。  「じゃあ、明日の朝伺います。」  「うん。待ってるね。」  おやすみと優しい声で囁かれて、こちらもなんとか応えて電話を切った。  はぁ、とため息をついて、無意識に体に入っていた力を抜く。  明日、好きだと伝えよう。

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