50 / 132
第42話
「お邪魔します……」
「寒かっただろう?ホットコーヒーでも飲む?」
「あ、ごめんなさい、俺コーヒーは苦手で……」
「そうなんだ?じゃあココアでも良い?」
昨夜は緊張で中々寝付けなかったし、今朝は隆明さんに振られてしまう夢を見て、すごく目覚めが悪かった。
それも、隆明さんの顔を見ただけで何でもない事のようになる。
「それより、いい物ってなんですか?」
「ああ、物って言うより……まあ、見たら絶対気に入ると思うよ。連れてくるから座って待ってて。」
連れてくる?物じゃないの?
話しながらサッと作ってくれたココアを味わって飲む。“イイもの”って言うのがどんな物なのか想像付かなくて、それよりも今はこの空間に居られる幸福感が、堪らない。
ともだちにシェアしよう!