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第43話
「わ、かわいい……」
「どう?気に入った?」
「気に入るも何も…どうしたんですか?この子猫、」
隆明さんが持ってきたのは、タオルに包まれて眠っている子猫だった。柄は茶色のトラ柄。4本の足の毛は白くて、まるで靴下を履いてるみたい。
「知り合いのとこで産まれたんだけど、引き取って欲しいって言われたんだ。ちょうど太一くんから野良猫の写真が送られて来てたし、喜ぶかと思って連れて帰ってきちゃった」
「連れて帰ってきちゃったって……」
「で、もう1個あるんだけど、これ貰ってくれる?」
「……鍵?」
隆明さん、猫好きだったんだ、なんてギャップにきゅんとしてたら俺の為だって言うし、もう1個ってポケットから出てきたのは鍵で。
それって俺、どう受け取ったら良いの?
「ほら、俺って出張で数日家空ける事も多いじゃん?その間、この子の面倒見てもらえるかな〜って。」
「あ、そう言う……」
う、ちょっと、いやかなり期待した。だって合鍵ってそう言う物だって認識があるから。
でも、隆明さんにとっての俺は、あくまでもセフレとかペットシッターって言う立ち位置なら、俺はこの鍵を貰うことは出来ない。
「……ごめんなさい、受け取れません」
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