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第44話

 「………なんでか、聞いても良いかな?」  予想していなかった返答だからか、隆明さんはとても驚いた顔をしていた。俺は鍵を受け取って、都合の良いセフレで居てくれると自信があったんだろう。  「俺は、都合の良いただのセフレなのに合鍵なんて受け取れません。」  「え?」  「っだから!付き合ってもいないのに合鍵なんて、受け取る理由がないんです!」  なんだ、そんな事?みたいな反応をされて、腹が立った。こっちはどんな思いで毎回毎回隆明さんと会って、この家で触れ合ったか。ちっとも分かっていないのなら、やっぱり最初からその気はなかったんだ。  「俺は今日、振られる覚悟で好きだと言う為にここに来ました。まさか都合の良いセフレ兼ペットシッターとして合鍵を渡されるとは思っていませんでしたよ。」  「や、待って、セフレ兼ペットシッターってなに?って言うか振られる覚悟って?」  怒りか吹っ切れたのか、隆明さんの反応を他人事のように見る。狼狽えたような姿に、なんだか面白いとさえ思える。

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