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第46話

 「いや、うん。そうだね、これは俺が悪いよ。でも、太一くん凄い勘違いしてるから、もう遅いかもしれないけど、弁解させてくれるかな?」  「……どうぞ。」  また元の姿勢に戻った隆明さんが、子猫を撫でていた俺の手を取って視線を合わせられる。  この状況でもこんなに嬉しいなんて、俺って単純な奴。  「初めてここに来た日……その、セックスした後、太一くん少し寝てたんだけど、身体拭いてたら目が覚めて、少し話をしたんだ。」  「話って、何をですか、」  「…まぁ、なんて言うか…太一くん俺と付き合いませんか、って言う……太一くんかなり酔ってたし、覚えてないのは仕方ない。それに、その後もはっきり言葉にしなかった俺が悪い。こんな不甲斐ない男で、幻滅した、かな?」  「……え?じゃあ、隆明さんは…」  「うん、太一くんとは恋人として、過ごしてきたつもりだったよ。」  なにそれ。なんだそれ。ぜんっぜん覚えてないし。思い返せば、隆明さんは好きだとは言わない迄も、可愛いだとか俺の、って言い回しは良くしていた気がする。  この1ヶ月の事を思い返していると、なんだが嬉しくて、寂しくて、悲しくて、涙が溢れてくる。  「……泣かないで、俺は太一くんの笑った顔が好きなんだ。」  「ムリです……今、色んな感情がぐるぐるしててっ、」  「うん。ごめんね、」  優しく頬を撫でられると、余計に泣きたくなってしまう。この手が、この声が、この人が好きなんだ。  振られなくて良かった。これが最後じゃなくて良かった。好きだと、言って貰えた。

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