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第53話

 「ただいま〜」  「隆明さんっおかえりなさい!」  「わっ、どうしたの?もしかしてずっとここにいたの?」  「へへ、早く会いたくて、」  好きな人がいて、相手も自分を好きだと言ってくれて。こんなにも恋って楽しいものなんだ、なんてるんるんで仕事を終えて、隆明さんが帰宅するのを、玄関で待っていた。  「鼻が赤くなってる。風邪ひくから、早くリビングに入ろう。」  「はぁい」  指の背でさらっと鼻を撫でられ、そのまま摘まれる。帰ってきたばかりの隆明さんの手の方が暖かくて、それだけで鼻の頭がじんわりぽかぽかする。  「あ、隆明さん!マサの事なんですけど、ちょっとだけ、聞いて貰えますか?」  「……うん、聞かせて?」  隆明さんは、さっきまでニコニコしてたのに、急にしゅんとした顔になった。  やっぱりこれはやきもちだよ。胸がきゅん、どころかぎゅんってなって苦しいよ〜!

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