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第57話
「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ。」
携帯を触っていた雅人は、ちょっと飲みすぎた、とヘラヘラ笑い席を立った。テーブルの上には食べかけの料理と空になったグラス、それに開いたままの携帯電話。液晶画面はこちらからは何が表示されているかわからない。
ほんの好奇心と、許されない嫉妬心からだった。
「結婚式と入籍のタイミング…喜ばれる結婚式のサプライズ…ウェディングドレスに流行はある?…」
検索途中だった画面には、結婚、入籍、ウェディングドレスの文字。ああ、本当に結婚するつもりなんだ。自分から確かめに行って、馬鹿みたいだ。
「っわ、押しちゃった!」
携帯を握ったまま机に額を付け、熱くなってしまった目元を鎮めていると、急に携帯が震え、驚きで画面を触ってしまった。
着信は、雅人が珍しくマジになっている受付嬢だった。
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