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第64話
「両親はその言葉通り、昼には仕事を終わらせたそうです。」
両親から電話があって、そろそろ帰れそうだから、上着を着てマフラーを巻いて、出掛ける準備をして待っていてと言われた。
「俺は暖かい格好をしてずっと玄関先で待っていました。強い風と冷たい雪で手が痛くなっても、頬がチクチクしても。でも、両親は帰ってきませんでした。」
どれくらいの時間、外で待っていたかはもう覚えてない。家の中から電話が鳴る音が聞こえて、両親かと思い急いで出た。
「両親の祖父母からでした。迎えに行くからと言われて、俺は皆で出掛けるんだと思いました。でも、祖父母に連れられて来たのは、病院の霊安室でした。」
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