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第65話

 朝、酷いことを言って別れた両親は、白い顔をしてもう二度と目を開けることも、抱き締めてくれることもなかった。  泣いても泣いても涙が止まらなくて、現実を受け入れられなかった。  「急いで帰っている途中、雪でスリップしたトラックと壁に挟まれて即死だったそうです。両親の手にはクリスマスケーキが握られていて、でも、それもぐしゃぐしゃになってたって。」  あの日、俺は小さいながらも大事にしてきたものを全て失った。すきですきで、離れることは無いと信じて疑わなかった。  「あの時、俺がワガママを言わなければ急いで帰ることもなかったし、事故に巻き込まれることもなかった。俺が、両親を死に追いやったんです。」  後悔なんて、両親が戻って来るのならいくらでもする。もう一度やり直せるのなら、笑顔で二人を見送りたい。帰ってきたら、買ってくれたおもちゃで遊ぼうねって。  お父さん、お母さん、大好きだよって。

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