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第67話

 「…ん、」  翌朝、カラッとした嫌な寒さに目が覚めると、被っているはずの布団は足元に追いやられ、隣にあるはずの温もりもなかった。リビングの方からは、隆明さんが朝食の準備をしているのだろう音が聞こえている。  「さむい……」  すぐに動く気にもなれず、しっかり布団を被り直して目を閉じた。昨日泣いてしまったせいか、少し瞼がヒリヒリとして熱を持っている気がする。  全てをさらけ出したりなんかして、隆明さんに嫌われていないだろうか。呆れられてはないだろうか。  太一にとって、両親の死とその理由は、これまでの人生で重くのしかかった枷のようなものだった。キレイさっぱり取り払われた訳ではないが、隠し事をしていると言う罪悪感からは解放された。  「太一くん、起きてる?ご飯だよ。」  「あ、おはようございます…」  未だ冷たい空気に中々布団から出られないでいると、床に膝をついて目を合わせた隆明さんに、目元を撫でられる。  「腫れちゃったね。今からでも冷やした方が良いよ。タオル冷やしてるから、早く布団から出ておいで。」  「…ん、はい。」  瞼にキスをされ、昨夜の行為を思い出した。隆明さんの腰の動きは激しい癖に、色んなところにくれるキスが甘くて優しくて、たまらなく求めてしまった。思い出してるだけでも腰が疼いて仕方が無い。  こんな身体にした責任、取って貰わないと、なんて考えながら、朝食の匂いに引き摺られるように寝室を出た。

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