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第69話

 「そうだ、今夜俺の家に遊びに来る?」  「お家…?」  隆明さんのお家にならいつも遊びに…と考えたところで察した。そうか、隆明さんのお家と言うのはこの場合ご実家と言う事で……  「いっ、いえ!そう言うつもりで言ったわけじゃっ、」  「うーん、太一くんが嫌なら、とりあえずは友達って言う事でも大丈夫だけど。」  それってぜんぜん俺が大丈夫じゃないっ!  隆明さんのご家族に会うのが嫌な訳ではない。寧ろ興味があるし、すっごく会ってみたい。  だけど、友人として会うには嘘をつく事への罪悪感で楽しめない気がするし、素直に恋人として会うには……こんなちんちくりんな俺じゃあ、きっと祝福はして貰えないだろうし、何なら反対されて追い出されるんじゃないだろうか。  「まだ、俺……心の準備が出来てないです…」  「そんな困った顔しないで。言っただろう?俺の両親は偏見なんてない。太一くんなら大丈夫だよ。」  「……そんな、簡単に大丈夫って、」  優しく微笑まれても、今は少しも癒されないし、不安は広がる一方だ。足元で何かを訴え掛けてくるチャチャにも、いつものように構ってやれる余裕はない。  せっかく、ちゃんと恋人同士になれたばかりなのに、反対なんかされたら……。

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