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第77話
「ええっ?ちょっと、泣かないでっどうしましょう、ハンカチ!ほら!拭いて!」
「太一くん、嬉しいこと言ってくれるのは良いけど、かわいい顔が台無しだよ、泣きやもう?ね?」
うう〜っと泣き出してしまった俺にハンカチを当ててくれるお母さん。手を握って頭を撫でてくれる隆明さん。
もう、どうしよう。こんなの、涙止まるわけがないよ。
「ただいま〜お客さん来てるの?……え、何これ修羅場?」
涙を止めようと必死に深呼吸をしていると、玄関のドアが空いて女の子の声が聞こえた。
そう言えば、妹さんもいるっていってたな…
「ああ、おかえり、アキ。」
「えっアキ、さん?」
「いやいや、そんな平然とおかえりって……どうしたの?何かあったの?」
隆明さんが“おかえり、アキ”って言うから、ドキっとしてゆっくり顔を上げると、そこには昨夜見た女の子と同じくらいの子が立っていた。昨日は暗くて顔は良く見えなかったけど、髪の長さや服の系統はよく似ている。
「えっと…妹、さん……?」
「ああ、アレは弟だよ。弟のアキヤ。」
「えっ!?おとっ、え…!?」
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