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第79話
「ああ、アキには紹介してなかったな。こちら篠崎太一くん、俺の恋人だ。手を出すなよ。」
「出さないってぇ、俺恋愛対象は女の子だから。あ、俺アキヤね。あんな格好してたけど、ただの趣味だから気にしないで。普段は普通の男だから。」
「アキ、太一くんは歳上だ。敬語を使いなさい。」
「え、俺のお兄ちゃんになるんでしょ?じゃあ良いじゃん。」
サラっと隆明さんに紹介された挙句お兄ちゃんだなんて言われて、俺は顔が赤くなるのを感じた。
俺よりも頭一つ分低いくらいの身長に、童顔なのか可愛らしい顔。その見た目に合うような少し高い声。先程の姿を見てしまったからか、どうしても女の子の姿がチラついてしまう。
「それで、泣いてたのは?もう大丈夫なの?」
ええ、それまだ掘り返すの?もう俺すっごく恥ずかしいよ……一人で勘違いして突っ走るなんて、ほんと穴があったら入りたい。
浮気も俺の勘違いに終わり、きちんと御家族に紹介もして貰って、俺はちゃんと隆明さんに愛されているんだと実感して、残ったのは途轍もない恥ずかしさだった。
「太一君はね、祝福してもらえないと思ってたらしくてね、感動して泣いてたの。健気でかわいいわよねぇ。あなた達も見習って欲しいところだわっ」
「えぇー、俺たちがやったって気持ち悪いだけでしょお」
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